原発内からロボットが回収できなくなる理由とは

アゴラ編集部

東京電力福島第一原発の事故現場で、廃炉に向けた調査のために投入したロボットが、相次いでコントロールや回収が不能になっています。4月10日から原子炉格納容器内へ入れたロボットは走行ができなくなり、ケーブルを切断して回収を断念。このロボット、往復する行きの2/3ほどを進んだ地点で金網などの障害物に挟まり、コントロール用有線ケーブルを引っ張っても取り戻せない状態になりました。


「コ」の字型から変形するという複雑な機構のロボット。表面の引っかかりも多く、瓦礫が散乱する現場で可動にも不安がある。Photo:The International Research Institute for Nuclear Decommissioning


続く4月20日、再度投入された2台目のロボットもロボットを監視するカメラが放射線の影響のためか故障し、これも回収することをあきらめています。これはロボットの様子がカメラの画像でわからないから、という理由。有線でコントロールしつつ、さらにロボット自体が自分の状況を客観的に分析できないため、いわゆる「神の目」のようなカメラで眺めつつ、手動で動かしているわけです。

ロボットが回収が不能になっても、これまで人間が入れなかった高線量の原子炉周辺の様子は少しはわかってきたようで、東京電力は「格納容器内部の情報収集ができた」と言っています。このロボットは「コ」の字型のヘビ状の形状をしています。1台目は障害物に挟まり、2台目は監視カメラの故障のためという原因ですが、100Sv/hで10時間という高線量下でも動作可能なように開発されているので、何やら不可解な事情で回収困難になっている。日本の誇るロボティクスがこの程度、というガッカリ感は否めません。

このロボット、日立GEニュークリア・エナジーと技術研究組合「国際廃炉研究開発機構(IRID)」が共同開発したものです。原子炉内の配管にも入れるようにヘビ型の形状にしたらしい。通常の走行時は「コ」の字型で進み、配管などでは「I」字型に変形する、という複雑な機構を採用。2月3日の公開訓練では無難に動いているように見えます。しかし、実際の現場は想定より過酷だった、ということでしょうか。そういえば日立のロボットといえば「EMIEW」なんてのもありました。

福一の事故前まで、原発災害用のロボットについては、経産省系のロボット開発に予算がつかず、文科省系のプロジェクトのみが細々と続けられていました。福一の事故直後、国産のロボットが現場へ投入されず、東京電力は米国製のロボットを採用し、これが問題視されましたが、今では上記の日立製のものを含め、高線量瓦礫の除去用無人重機など、多くの国産ロボットが事故現場で作業をしています。

この中では、米国製のレスキューロボットより強度の踏破性を持つ「Quince(クインス)」や後継機「Rosemary(ローズマリー)」、「Sakura(サクラ)」といった無人ロボットが活躍しています。「Quince」は千葉工業大学などによって開発されたロボット。この他、日立製、三菱製、東芝製など各社ロボットを国際廃炉研究開発機構がとりまとめ、高線量下で動作可能なように改良を加えて事故現場へ投入しているようです。


千葉工業大学未来ロボット技術研究センター、国際レスキューシステム研究機構、東北大学未来科学技術共同研究センターなどが開発したレスキューロボット「Quince」。2011年6月に福島第一原発の事故現場へ国産レスキューロボットとして初めて投入された。こうした無限軌道機構でも自分の状況が判断できなければ脱出できないことがある。

原子炉内は、通常の状態でも配管が縦横に走り障害物や段差も多く、多種多様な動作が必要になります。事故が起きて断裂した鉄材や配管などが落ちてきて瓦礫が散乱し、ロボットにとっては過酷な環境になっている。今回、回収不能に陥ったロボットは、表面にかなりの凹凸があり「コ」の字型から「I」の字型に変形するなど機構も複雑。こうした駆動系では、長いケーブルを引っ張りながら原子炉内へ入っていくだけの牽引力も不安です。

事故前からレスキューロボットの開発は行われてきたわけで、障害物や悪路の踏破能力は検証されてきたはずです。やはり、手動コントロールや「神の目」ではなく「自律的」に状況判断し、環境に応じた動作が自分でできるロボットでないとダメなのかもしれません。

IRORIO
東電が「調査ロボ」の回収をまた断念!放射線の影響でカメラが故障か?

※日立GE製のロボットの写真を追加しました。2015年4月22日


Bill Paxton Schools Ben Affleck on How to Deal with Slave-Owning Ancestors
ALTERNET
ご先祖さまの「悪行」は気になりますか。米国の男優ベン・アフレック(Ben Affleck)といえば、脚本家やプロデューサーとしても有名ですが、主演した映画『アルゴ(ARGO)』(2012年)で監督としてアカデミー賞の作品賞を受賞するなど、すでに映画界の重鎮になっている人物です。米民主党支持者でもあり慈善活動をするなどリベラルな言動でも知られています。この記事では、そのベン・アフレックが自分の先祖の奴隷所有について隠蔽を依頼した、と書いている。米国人のルーツをたどると、いろんなことがわかってくるようです。

World’s largest Nobu restaurant opens in Doha
arabian Business.com
寿司職人出身の料理人、松久信幸氏といえば、世界的にも有名なレストラン「NOBU」を俳優ロバート・デ・ニーロと共同でニューヨークで開店したことでも有名です。日本店は以前、六本木通りのジャズレストランの近くにありました。2007年からは虎ノ門に新たな店舗を出しています。その「NOBU」が、今度はカタールの首都ドーハに約2400平方m(727坪)の店舗を開店するらしい。場所はフォーシーズンズホテルドーハとのことです。

フォーシーズンズホテルドーハのダイニングのHPより。

Nearly 1 in 10 adults have impulsive anger issues and access to guns
EurekAlert!
思わずカッとなって暴力的になってしまう、と言う人がたまにいます。前後不覚になって自分の暴力衝動を抑えきれない。この記事によると、米国では推定約9%がそうした暴力行動を取った経験を持ち、彼らは銃を使える環境にいるらしい。さらに1.5%は、そうした衝動の突き動かされて銃を持って外へ出たりしたことが推測されるそうです。離れた場所から指先をちょっと動かすだけで人を殺すことのできる武器が、そのへんにゴロゴロしている。それが米国です。

ジャマイカで本日からガンジャ(大麻)が非犯罪化、ザイオンに一歩近づく
Buzzap!
これはちょっと意外です。ジャマイカなんて麻薬天国だと思ってた。2オンス(56g)までの所持が5ドルの罰金刑に変更され、逮捕されることも前科がつくこともなくなったらしい。オランダの大麻合法化は有名ですが、すでに米国のコロラド州で大麻の販売が認められ、アラスカ州やカリフォルニア州、オーストラリアのほとんどの州では犯罪ではなくなっています。大麻はタバコにくらべても無害であり、アルコールよりずっと社会的な影響は少ない、という考え方が世界的な流れになっているらしい。ただ、まだまだ大麻の悪影響についての分析調査が未知のままであることは確かです。


アゴラ編集部:石田 雅彦