資産運用は「集中投資」か「分散投資」か? --- 内藤 忍

ロンドンからいらした不動産業界の「大物」とお会いしました。イギリスで30年以上不動産ビジネスを手がけ、大成功している方です。


ロンドンに駐在したことのあるビジネスパーソンなら誰でも知っている会社の創業者の方です。昨年出版した私の著書がきっかけでコンタクトを頂き、来日される度に、宿泊されている日比谷のホテルでお会いしています。毎回、極めて有益なお話聞かせていただき、投資やビジネスに活用させてもらっています。

実は、本業の不動産ビジネスを展開するのと並行して、ロンドンで自ら不動産投資もされて、こちらも大成功しているようです。不動産投資の成功の秘訣を聞いてみるとその答えは「自分の理解できるロンドンンの不動産に集中投資すること」でした。

これは、ウォーレンバフェットと同じ考え方です。ウォーレンバフェットが、株式投資で大成功したのも、自分が理解できる銘柄をセレクトして集中投資したからです。コカコーラ、ジレット、ハーレーダビットソン、ウェルズファーゴといった会社に資金を集中し、S&P500を上回るリターンを長期で実現しました。

しかし、ウォーレンバフェットは個人投資家にはインデックス投資で分散することを勧めています。個人投資家が自信を持って集中投資できるほど、個別の物件を分析できるようになるには、莫大な時間と経験、そして能力が必要だからです。

株式投資と不動産投資には、違いがあります。一言で言えば「歪み」が取りやすいのが不動産投資。その意味では、個別の物件への集中投資に合理的な理由があると言えます。しかし、物件の目利きは出来たとしても、投資している国のリスクについては完全に情報を得ることはできません。特に、タイ、フィリピン、カンボジアといった新興国には政治リスクや経済リスクなど、予想もできないリスクが存在します。そのようなリスクと引き換えに高いリターンを得ているとも考えられるのです。

ロンドンという極めて安定した街を対象にするのであればエリアを集中して投資する方法にも一理あるかもしれません。しかし、新興国投資をしている限りにおいては、やはり分散投資は避けられないと思いました。

資産運用のやり方には絶対は無く、人それぞれにベストと思う方法を模索していくしかないのです。今回のミーティングも、自分の資産運用方法を見直すことができ、たくさんのヒントを得ることができる、楽しく有意義なものになりました。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年4月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。