高い原価率はマクドナルドが競争力を失った結果

大西 宏

中島さんという方が、マクドナルドの原価の高さに呆れて、よくもまあそんな低い利益率で成長拡大してきたものだと書かれています。参考になる視点です。しかし、ちょっと誤解されているというか、もうすこしさかのぼってデータを見てみると、年々原価率があがってきたこと、つまり利益のでないメニューしかだせなくなってきた経緯がよくわかります。
マクドナルドの「原価」を調べてみた。 : アゴラ


鶏が先か玉子が先かみたいになりますが、原価率が高いから駄目になったというよりは、マクドナルドのビジネス、特にメニューが魅力を失い、競争力を失ったから原価率があがったと考えるのが自然じゃないでしょうか。

マクドナルド原価率

グラフを見れば、どんどん直営店の原価率があがってきたことがわかります。平成21年では、原価率は71.5%だったので店舗での粗利が30%近くもあったのです。そして原価率が上がり続け、平成26年にはなんと、96.1%に達してしまっています。原因はともかく、それだけビジネスやメニュ-に魅力も付加価値もなくなってきたのです。もうビジネスとしても成り立たないレベルにまでになってしまったということでしょう。それで当然のように赤字になってしまったのです。

マクドナルドはリカバリープランとして、戦略的閉店とか、店舗改装を進めるとしていますが、お客さまが聞いただけでも食べてみたくなる、行ってみたくなるようなメニューの大変革を行えなければかなり先行きも厳しいのではないでしょうか。店舗が少々キレイでモダンになっただけでは魅力がさほど上がりません。

それに、ビッグマック指数というのがありますが、世界中で価格を比べることができる同一メニューを売っているということそのものが、もはや時代に合っていないのではないか、コモディティ化の罠にはまりやすいのではないかと感じます。
ビッグマック指数 – Wikipedia

中島さんがもうひとつ誤解していらっしゃるのは「フランチャイズはコンサル業」というところです。いえいえ、マクドナルドにしても、コンビニエンスストアにしても、「コンサル」として指導するということだけでなく、商品を企画し、仕様を決め、製造して食材や商品を提供しています。コンビニエンスストアでも、PBだけでなく、お弁当やサンドイッチなどもオリジナル商品で、専用工場でつくって各店舗に配送するのが普通です。

そんな本部が、集客もできない、しかも利益もでないメニューしか開発できず、また店舗に提供できないのに、フランチャイズ化しているというのは、まったくもって、こまった本部だ、なにを考えているのだということになり、当然、どんどん離反が起こっても当然です。

マクドナルドの不振は日本だけでないのですが、本社のCEOも変わったので、やがて日本でもなんらかの変化がでてくるのでしょうが、どんな変化をつくりだせるのかを楽しみにしておきたいと思います。