カンボジアの不動産登記はとっても不思議な経験だった --- 内藤 忍

プノンペンの最終日は、購入した物件の登記のために空けておきました。9時にホテルからピックアップしてもらい、手続開始です。最悪の場合を考えて一日取っておいたのですが、幸いにして午前中の2時間ほどで完了しました。


まずは、プノンペンの弁護士事務所に行って、書類の作成です。予め伝えておいた情報(両親の名前や生年月日など)を元に、現地の弁護士(写真)に作成してもらった書類に母印を押していきます。この国は印鑑社会ではなく、母印社会です。親指の真ん中で、青いインクを使います。これが、慣れない人には意外に難しく、書類に押す前に、何度も練習させられました。

その後、今度はデベロッパーの事務所に行って、売買契約書や支払の際の領収書などを渡します。なぜ、デベロッパーに手続をしてもらうのか意味がわからないのですが、弁護士が同行してくれるので、専門家にお任せして言われるままに手続します。

最後は、カナディア銀行の本店に行きました。銀行と登記とどう関係あるのか?これもまた意味がわからないのですが、ここも弁護士同伴で銀行の応接室で書類のチェックをして、登記費用などを支払うと、手続終了になりました。

プノンペンの完成物件に関しては、できるだけ早めに登記をすべきというアドバイスが、管理会社から送られてきましたが、これには理由があります。登記が遅れることによって、2つのリスクが増大するからです。

1つは、外国人比率が70%を超えるリスクです。カンボジアでは、全体の面積の70%を越えて外国人が所有できないルールになっています。販売時点ではデべロッパーが比率を管理しています。しかし、もしカンボジア人から外国人に転売されて、登記をはじめると、限界を超えてしまい、外国人の登記ができなくなる可能性はゼロではありません。

2つ目は2重登記のリスクです。登記をする前に、物件の所有を担保する書類は、売買契約書しかありません。もし、悪意のある会社が2重販売をして、もう1つの買い手が先に登記してしまうと問題です。逆に言えば登記をしてしまえば、所有権に関しては心配が無くなるということでもあります。

手続には手間がかかりましたが、その分カンボジア不動産の所有権に関しては、安心することができました。同じ海外不動産と言っても、国によってその登記の仕組みやリスクは異なります。実務に精通した専門家とお付き合いすることの大切さを今回も痛感しました。

カンボジアの登記の注意事項に関しては、早速スタディツアー参加者と物件オーナーで作っているグループ「カンボジア研究会」でシェアしました。リアルに投資をしている人たちのネットワークには、こうして様々な情報が集まってくるのです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。