原爆投下14年後をフランス人が描いた映画とは

フランスの映画監督、アラン・レネは、ヌーヴェルバーグの旗手とも言われ、映画好きの間では不条理映画『去年マリエンバートで』(L’Annee derniere a Marienbad、1961年、日本公開1964年)が有名だ。一方、ナチスのアウシュビッツを扱った映画『夜と霧』(Nuit et brouillard、1955年)や広島の原爆を取り上げた『ヒロシマ・モナ・ムール(Hiroshima mon amour)』(邦題『二十四時間の情事』、1959年、マルグリット・デュラス脚本、日本・フランス合作映画)といった問題作も撮っている。

太平洋戦争末期、広島と長崎に原子爆弾が落とされた。放射能で半世紀は生物が住めない、などとも言われたが、その後のたくましい復興の様子は日本人衆知の事実だ。アラン・レネの映画『ヒロシマ・モナ・ムール』は、フランス人という「異邦人」が原爆が投下された広島を訪ね、いったいどう感じ、どういう体験をするか、という内容となる。

この映画の主演女優はエマニュエル・リヴァ(Emmanuelle Riva)だが、写真好きでもあり、広島ロケの際には表題の記事で紹介されているような写真を撮っている。2008年にはこの写真の存在が知られ、50年ぶりに広島へ招待されて写真展を開いた。

彼女は、サファリラリーへ参加した日産のダットサン・ブルーバードの奮闘ぶり(1966年に初優勝)を石原裕次郎の主演で映画化した『栄光への5000キロ』(1969年)にも石原のライバルの妻役で出ている。当方は小学生のころにこの作品を観たことがあるが、リヴァの美貌は当時の浅丘ルリ子と並んでも遜色なかったように記憶している。


1958年、ロケ先の広島の風景をバックにしたエマニュエル・リヴァ。

vintage everyday
Amazing Snapshots of Everyday Life of Hiroshima, Japan in 1958


The Future Of War
POPULAR SCIENCE
第二次世界大戦後、何度か紛争以上の戦争が世界で起きているが、そのほとんどは侵攻した側が敗北を喫している。ベトナム戦争しかり旧ソ連によるアフガン戦争しかり中越戦争しかり。フォークランド戦争にしても英国が大勝したとは必ずしも言えないし、湾岸戦争やイラク戦争も現状をみればどちらが勝者かはわからない。この記事では、近未来の「第三次世界大戦」について書いている。中国は準備を整えているようだが、中国が対外的な戦争で勝ったことは皆無だ。だからこそ、アヘン戦争のトラウマを払拭するためにも、とりわけ軍部は自分の力量を試したくて仕方ないのかもしれない。

Happy Birthday, Mr. Rockefeller: The World’s Oldest Billionaire Turns 100
Forbes
1915(大正4)年6月12日生まれのデイヴィッド・ロックフェラー・シニア(David Rockefeller, Sr.)が、100歳の誕生日を迎えた、という記事だ。ヨゼフ・シュンペーターに直接、教えを受け、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)ではフリードリヒ・ハイエクとも同窓生というだけでフェデル・カストロ同様、すでに歴史上の人物だが、長寿はまぎれもなく「美徳」なのだろう。長く生きるのには「理由」がある。彼の歴史的な役わりがいったい何だったのか、いつわかるのだろうか。

Research links impulsivity and binge eating
EurekAlert!
米国ミシガン州立大学の研究者らによれば、心理的に動揺した際に衝動性の高い言動をとりがちな人は過食症になるリスクも高いそうだ。彼女たちは、612人の女性の双子(!)にインタビュー調査を実施したが、その14%は過食症もしくはその傾向のある人たちだった。心理的動揺と過食症に関係は、ネガティブで緊急性の高い突発的な場合に顕著らしい。こうした緊急事態に対応する際、自分の心理を平衡状態に戻すため、こうした性向にある人たちは安易に食べ物に手を伸ばす。研究者らは、この研究結果は過食症の心理的治療に役立てられる、と言っているようだ。

This gorgeous moth is an invasive plant’s worst nightmare
PHYS.ORG
「Arctiidae」という昆虫の蛾が、有害な外来種のタネを選択的に食べることで、その植物に打撃を与える、という記事だ。このヒトリガ科の蛾は、派手派手な模様の羽を持つ。ヒトリガ科の外来害虫といえば、日本ではアメリカシロヒトリが有名だ。昔はかなり被害があったが最近では天敵に狙われたか寄生バチの標的になったのか、数は少なくなっている。この記事では、米国フロリダ大学の研究者が、ヒトリガの一種を使って外来種への対策にしようとしている、と紹介している。

種子がガラガラと音を立てる外来種「Crotalaria」にとって、このヒトリガは最悪の悪夢だ。Credit: Florida Museum of Natural History photo by Andrei Sourakov


アゴラ編集部:石田 雅彦