日本人の典型的な性格の一つとして「みんな同じ」という点が挙げられます。流行の服を競うように着て、美味しいという店に大行列を作って「あの店行った?」と話題にします。夏のこの時期、男性サラリーマン諸氏の恰好は上下紺のスーツにちょっとおしゃれなワンポイントが入っている感じのボタンダウンの白のシャツでノーネクタイでワンパターン。
これはビジネスでも同じでパンケーキが流行ればパンケーキだし、ラーメンブームは永遠に続きそうです。昨日テレビで鎌倉にカレー屋が30軒もあり一部の店で大行列になっていると放送していましたが、ご当地ブームも同様の傾向があります。つまり、一つの成功事例に多くのフォロワーが集まり、一大ブームを作り出すという流れが他の国に比べて非常に強いところがあります。平たく言えば、ほぼ単一民族である故なのでしょうが、日本人が日本人の為に日本の中だけでやっていればそれはそれで結構ですが、外国人相手のビジネスは要注意すべきです。
中国人の爆買いにデパートは売り場を広げ、中国語やその他言語を扱える人を増やしています。成田空港近くには新たなアウトレットモールが出来、多くの外国人が立ち寄ってくれることがそのビジネス計画に盛り込まれています。ホテルは中国人ツアー客を取り込むために必死で営業、優勝劣敗が明白に出ています。その為に朝食、夕食にビュッフェを取り込むため、ホテルのテイストが外国人ツーリスト用に変貌しているところも多く見受けられます。
中国だけではなく、東南アジアから北米、欧州まであらゆる人が日本に注目して、人が押し寄せており、日本政府としては訪日外国人客2000万人の前倒し達成が確実となりほくほくしているものと思われます。
この外国人訪日客ですが、いつまでどこまで期待できるのか、これが今日のお題です。
政府の目標はパリのように観光立国を目指している点です。その点は日本も楽しいところが多く、食文化も発達しているため飽きさせることはないでしょう。ただ、ブームは必ず沈静化するものです。その時ビジネスをシフトしすぎてしっぺ返しが来ないようにする対策も必要でしょう。
例えば中国人の爆買い。いつまで続くか、といえば私は長くて1-2年。オリンピックまでは持たないとみています。理由は中国がそれを放置しないとみています。例えば中国政府は一部輸入品の関税率を半分程度に引き下げ、中国人の日本などでの爆買いの沈静化対策を始めました。また、中国人は物珍しさが手伝うときは一気に来ますが、目線がほかに向くとブームが急速に冷める傾向があります。
二点目に為替。円安は外国人観光客にプラスでした。今回の急激なブームは日本政府が外国人ビザ発給を緩和したこと、バズーカ黒田が呼び込んだ円安、それに政府民間をあげてのウェルカムムードだったと思います。
しかし、買い物目的を主とするとなかなかリピーター確保に続きません。なぜパリやロンドン、ローマにニューヨークに行くかといえばそこには文化的遺産や博物館、美術館のコレクションがあり、世界共通のスタンダードで価値を共有できることは見逃せません。(日本にもありますが、コレクションのレベルが違いすぎます。)
あるいはミュージカルや舞台といった芸能もあります。その点、日本文化は一部を除き、歴史建造物や伝統品が珍しいから見るというレベルから抜けていない可能性はあります。また、劇、音楽会、コンサートの類は日本ではチケットを相当事前に申し込まないと取れません。ラスベガスでもブロードウェイでもこだわらなければ当日券が取れるのとは大きな違いでしょう。外国人が歌舞伎に当日入れて、エンジョイできるかといえばハードルは高そうです。
日本は爆買いに踊ってはいけないと考えています。アウトレットにビュッフェではなくていつでも誰でも簡単に入って楽しめる音楽ショー、歌舞伎公演、能や雅楽、リゾートで日本的おもてなしといったサービスではないでしょうか?ちなみに英語でバケーションとは平常時からかけ離れ、基本的に何もしないことを言います。遊び疲れるところに行くことはバケーションに行くとは言いませんが日本旅行はどうも疲れる、と印象を持たれてはいないか心配です。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 6月25日付より