慶應義塾大学メディアデザイン研究科KMDとスタンフォード大学アジア太平洋研究センターAPARCとの共同開催「IT政策研究会」。
ディズニー、TFM、住商、DeNA、トーマツ、音制連、博報堂、フォーカスシステムズ、東大、総務省、経産省が参加して、特区とCiPについて議論しました。
電波、著作権、サイネージ、ロボット、超人スポーツ。いろんな特区をCiPに詰め込みたい。著作権特区は以前、岡山県が仕掛けてはねつけられたことがあるのですが、映像・音楽のアーカイブを構築して、その場で見せる特区作りに再挑戦したい。
ところで昨年のIT政策研究会スタート時には、インフラやコンテンツに関する政策が有効性を失っていて、行政需要は乏しくなっているのでは、という問いかけをしました。インターネットや地デジの整備が一段落し、通信政策、放送政策、競争政策、電波政策の重要性が落ちているのではないかと。
しかし、このところ、新たな需要を示す動きが活発になっています。
EUによるGoogle規制の動きが活発です。国際プラットフォームに対する国家・地域政策の発動です。かつて映画規制などでも見られた欧州vs米国の構図に近い。日本では議論が静かですが、今後はどうでしょう。
ドローンに関しては、前回のIT政策研究会で米国の規制動向を議論した際、日本はできるだけ非規制で行きたいという話になったのですが、研究会会場の近所から官邸に飛ばしたという1つの小さな事件でやすやすと破られそう。政策として、それでいいのか。
ドイツのindustry4.0は、東大・稲田教授が紹介してくれた際に衝撃をもって議論しました。日本でもかなりホットな政策論となってきました。産業政策とIT政策の交点をどう設計すればよいでしょうか。
通信では、孫さんの後継者のニュースが驚きをもって語られています。通信業が国際展開する中で、経営者もグローバルに。通信政策の国際化は進むのでしょうか。
放送では、NHKと総務省が番組規制を巡りケンカ。某議員によれば、これはガチ。NTTvs総務省は繰り返されてきましたが、NHKvs総務省が表に出るのは記憶にありません。番組規制や特殊法人規制を巡る地殻変動はあるでしょうか。
このように、がぜんIT政策の季節になってきました。研究会スタート時の認識は、ぼくの目が節穴だったということでしょうか。あるいはドンピシャの時期に研究会をスタートさせた先見の明とみるべきでしょうか。
ところでスタンフォードのカウンターパートであるアジア太平洋研究センター星教授ら8名が、安倍首相の談話「私なら」版を発表しました。うん、ぼくらもこういう実政策にパンチを食らわすようなことをやりたいと思います。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2015年8月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。