知財計画2015が決定しました。重点3本柱と重点8施策からなります。
重点3本柱は、
第1. 地方における知財活用の推進
第2. 知財紛争処理システムの活性化
第3. コンテンツ及び周辺産業との一体的な海外展開の推進。
コンテンツでは海外展開を他産業との連携で進めることが最重要とされました。
重点8施策は、
1. 世界最速・最高品質の審査体制の実現
2. 新たな職務発明制度の導入と営業秘密保護の強化
3. 国際標準化・認証への取組
4. 産学官連携機能の強化
5. テジタル・ネットワークの発達に対応した法制度等の基盤整備
6. アーカイブの利活用促進に向けた整備の加速化
7. 国際的な知的財産の保護及び協力の推進
8. 知財人財の戦略的な育成・活用
5.以降が主にコンテンツ分野の施策になります。
さて、ポイントをチェックしましょう。
まず、柱の1つ、コンテンツの海外展開について。
政府の施策は厚みを帯びてきました。映像コンテンツ権利処理機構(aRma)や放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)の設立、クールジャパン機構やJ-LOP事業による支援などです。産業界の姿勢も活発になりました。しかし、成果はまだこれから。
政府が期待する映像系の海外売上は1.4兆円、コンテンツ市場12兆円の1割にすぎず、その97%がゲーム。映画もテレビもふるいません。
そこで政府の考えは3つ。
1. 海外市場で受け入れられるコンテンツの制作・確保
2. 海外市場への継続的な展開による日本コンテンツの浸透
3. コンテンツ間や関連産業・地域との連携による相乗効果の確保
作って、広げて、ヨコ展開。
そうですね。
ただ、肝心なことは、じゃあどうするか。
施策メニューを挙げておきます。
<<海外市場で受け入れられるコンテンツの制作・確保>>
・現地ニーズに即したコンテンツの制作
・既存コンテンツの現地化支援
・国際映画共同製作の促進
・権利処理の一層の迅速化、効率化
・制度的課題の検討
<<海外市場への継続的な展開>>
・海外でのプロモーション支援
・市場性が低い国における日本コンテンツの露出
・海外展開支援のコンサルティング機能強化及び商談機会の提供
・国際的なコンテンツ人財の育成・活用
・海外の日本ファンとの連携
・海外市場調査の実施
<<コンテンツと関連産業との連携>>
・多様な分野との連携促進
・地域との連携
<<各段階に共通的な課題への対応>>
・文化交流の双方向性確保
・コンテンツ海外展開施策の普及啓発
・コンテンツ海外展開の経済効果の把握方法の検討
・正規版コンテンツの海外展開に係る模倣品・海賊版対策
これら施策は、同じ週にとりまとめられたクールジャパン戦略推進会議の報告と合わせて実行される見込みです。
政府は手厚い施策を掲げています。その成果が現れるか。ボールは民間・産業界に投げられたと言えましょう。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2015年9月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。