「名目GDP600兆円」を実現する3つの方法

きのうの安倍首相の総裁再選演説では「名目GDPを600兆円にする」という野心的な目標が出てきたが、いつまでにどうやって実現するのかという具体策はなかった。これでは目標とはいえないので、内閣府の想定する名目成長率3%の「経済再生シナリオ」でシミュレーションしてみた。


名目GDP(兆円)の推移と未来のシナリオ(赤線)

ご覧のように来年から名目GDPが毎年3%ずつ増えると仮定すると、2022年には名目GDPは600兆円になる。しかし名目3%という成長率は1980年代が最後で、ここ10年平均の名目成長率は-0.1%未満である。来年から奇蹟のような高度成長が復活するためには、次のような方法が考えられる。

  1. 財政支出を毎年3%拡大する:乗数効果が1としても、政府支出が100兆円増えれば名目GDPは100兆円増える。
  2. 毎年3%のインフレを起こす:これは量的緩和では不可能だが、首相が「財政再建はやめて国債を無限に発行する」といえば、金利上昇で起こるかもしれない。
  3. 中国方式:内閣府のGDP統計の集計方式を変更して毎年3%ずつ引き上げる。

このうちもっともコストが低いのは3だが、ばれるとフォルクワーゲンみたいな大スキャンダルになるので、1に近い政策がとられる可能性がある。一般会計歳出が200兆円にもなると財政が破綻するので、2も起こるから一石二鳥だ。ただしインフレが3%で止まる保証はない。