Uberの規制緩和。まずは地域・季節限定から --- 松田 公太

皆さんも「ウーバー(Uber)」という名称を聞いたことがあると思います。

※シェアエコノミーの規制緩和でわが国でも注目されるUber(公式サイトより、アゴラ編集部)

内容をご存知ない方の為に概略を説明させて頂きますと、欧米をはじめ現在65か国で実現されているサービスで、スマートフォンで送り迎えの配車サービスを受けられるというものです。

ウーバー社のアプリをダウンロードし、クレジットカードの手続きをしておけば、いつでも近くにある車を呼ぶことが出来て、現金を用意する必要もありません。
到着時間なども表示されて、直前キャンセルも可能という便利なサービスです。

このようなサービスはタクシー会社のアプリでも既にありますが、ウーバーが他と違う点は、タクシーだけでなく自家用車が登録されているところです。そのため料金が割安になります。
道に詳しくないドライバーでもお客さんが登録した住所にカーナビ(グーグルマップ)を使っていくだけですので簡単です。運転さえできれば、暇な時間にアルバイトも可能なのです。

問題になっているのが、このウーバーがその地域のタクシーの許認可を受けていないこと。このため各国のタクシー業界から強い批判を受けています。昨年6月にはロンドン、パリ、ベルリンなど主要都市で抗議のタクシーが路上に集合、交通をストップさせる事態になりました。

日本ではウーバーは2013年に東京でサービスを始めましたが、道路運送法により「白タク」が禁止されているため、やはりタクシー・ハイヤーの配車に限定されています。

先日、長野県白馬村に講演に伺った際、帰りのタクシーで運転手さんが話してくれたのは、地域(特に観光エリア)によっては白タクが既に横行しているという事実。

「スキーシーズンなどに外国人が多く訪れるのはありがたいが、タクシーが足りない。外国人のお客さんがコンビニで買い物した際などに自家用車で来た人に声をかけてホテルなどへ運んでもらう『白タク』が普通に行われている。いつか嫌な事件が起きるのではないかと心配している」と。

であれば、初めは地域・季節限定でも良いかもしれませんが、手を挙げた自治体からでもウーバー(もしくは同様のサービス)を積極的に活用してみるのが良いと思います。車両登録をして、GPS自動追跡を可能にすれば、犯罪防止にもなるはずです。

タクシー業界が心配する気持ちは分かりますが、グーグルの自動運転の技術やウーバーのシステムは間違いなく自動操縦タクシーに進展していきます。つまり近い将来、タクシー運転手も必要なくなるのです。今から観光タクシーへの業態転換や、多角化に乗り出したところのみが生き残ることになりますので、早々にマインドを変えることをお勧めします。

パリで悲惨なテロ事件が起きたばかりですが、日本を訪れる観光客が急増している背景には「円安」「買物」「食」以外に「安全・安心」があります。

規制緩和でイノベーティブなベンチャーが育てば、利益を上げるだけではなく、サービス向上や犯罪防止にもうまく繋げることができるのです。



編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年11月19日の記事「ウーバーVSタクシーVS白タク」を転載させていただきました(タイトルは改題。画像はアゴラ編集部)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。