子どもの頃に聞いた「間違えた教え」 --- 内藤 忍

アゴラ


子どもの頃に教えられた事というのは、大人になってからも心の片隅に留まり、影響を受け続けるものです。例えば「人のものを盗んではいけない」「嘘をついてはいけない」「人に親切にする」といった人生の基本的なルールは、今でも守るべき大切なルールです。しかし、子どもの頃に聞いた「間違えた教え」というのも存在するのです。

例えば、「食事は残さず食べる」という教えは、モノを大切にするという考え方から生まれたものだと思いますが、健康を考えれば「食事は無理をしないで適量を食べて残す」が正しい教えだと思います。世界には食事を満足に食べられない人がたくさんいるのはわかりますが、自分が残さないで食べても、彼らが救われる訳ではありません。

そして、子どもの頃教えられたことの中で、一番間違っていたと思うのが「借金はしてはいけない」という教えです。私と同じように「借金=悪」という呪縛に縛られている人は多いと思いますが、実は借金にも良い借金と悪い借金があります。

自分が遊びに使う車を買ったりするような消費のために借金は確かにやってはいけないことです。しかし、消費では無く投資のための借金は必ずしも悪いこととは言えないのです。

企業経営では銀行からの借入や、社債を発行して市場から借入を行うことで資金調達してビジネスを発展させるのは当たりまえです。自己資金だけではなく、借入によってレバレッジをかけることで、スピーディなビジネス展開を可能にしているのです。これは個人投資家でも同じです。

投資をするということは「お金の経営者」になるということです。お金の経営者も企業経営者と同じように、自分のお金だけでは無く、銀行からの借入によって資金調達を行い、投資を効率的に進めていくのは、理にかなっています。無謀な借入が問題であることは企業経営と同じですが、健全な借入はむしろ資産運用にとってはプラスなのです。

多くの個人の人はせっかく「お金を借りる力」を持っているにも関わらず、それをマイホームの住宅ローンという「消費のための借入」に使ってしまっています。消費のための借入である住宅ローンには罪悪感を感じない人が多いのに、投資のための借入を使った不動産投資についてはアレルギーを持っているのは、逆のような気がします。

私自身、数年前にようやく子供の頃の「借金=悪」という呪縛から解放され、銀行からローンを3本借りています。良い投資物件と有利な借入条件があれば、まだまだ借入を増やしていこうと思っています。



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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年11月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。