政治と若者をつなぐことはできるのか !? --- 選挙ドットコム


(編集部より)選挙ドットコムの人気連載「小池みきの下から選挙入門」からの転載です。
選挙界の様々な識者に、かなり下の方から教えを請う当連載もとうとう20回を突破。3人の重鎮に取材を重ね、選挙についての知識や関心が多少身に付き始めたと思わしき小池だったが、実は一つの大きな疑問を抱えていた……。

【マツダ参謀長】
「どうしたんですか小池さん。またもや浮かない顔をして。ラーメンが足りないんですか」

【小池】
「そんなにいつもいつもラーメンばかり食べてませんよ。私だってカロリーと塩分が気になるお年頃なんですから。っていうか、その『お年』についての話なんですけど、政治の世界ってやっぱりおじさま天国ですよね。参謀長が紹介してくださる取材相手も年配の男性続きだし。若い人っていないんでしょうか?」

【マツダ参謀長】
「あぁ、ラーメンじゃなくて若い男が足りてないということですか……」

【小池】
「憐れみの目はやめてください。政治に関わっている若い人にはどこに行けば会えるんだろう、と思っただけです」

【マツダ参謀長】
「自ら取材先について考え始めたのはいいことです。それじゃ次は、政治分野の中で頑張っている、若い世代への取材に行きましょう。僕の昔なじみでちょうどいい人がいますよ。若者と政治をつなげる活動を行っているNPO法人の代表で、この間第7回若者力大賞ユースリーダー支援賞・個人部門も受賞した逸材です。小池さんと同い年くらいかなあ」

【小池】
「うわー同世代ですか、東大出で、学生時代から団体の代表とかバリバリしていて、Facebookの友達何千人もいるような人だったらどうしよう。気後れして話せないッス」

【マツダ参謀長】
「今の条件は全部当てはまります(笑)でも大丈夫、とってもいい奴なんで! あ、そうそう、彼への取材は一人で行ってきてください。僕、××が○○で△△(難しい政治の言葉)になってしまったので至急××に行かないといけないんです」

【小池】
「なに、母星のアルデバラン星で大統領選があるから選挙対策本部へ行く? あっ、ちょっと待ってください、エリート同世代とタイマン勝負とかイヤ~~!」
こうして、懇願むなしく参謀長に置いていかれた私は、今回の取材相手であるNPO法人YouthCreate代表・原田謙介氏と、中野のルノアールでいきなり顔を合わせることになったのであった。

【原田氏】
「どうもはじめまして、NPO法人YouthCreate代表の原田謙介です。1986年生まれです」

【小池】
「(げ、完全に同学年!)はじめまして小池です。今日は参謀長が来れなくてすみません。若い人への取材だからって気を抜いたとかそういうのでは決してないので」

【原田氏】
「いやいや大丈夫ですよ。というか僕もう29なんで、本当に若いのかと言われるとそうでもないと思います(笑)。政治に関わっていると、周りが年配の人ばかりだから若者扱いはされるんですけど」

【小池】
「いやあそうなんですよねえ、わかります。私も気づけば周りの編集者が年下だらけで……ところでその、横にいらっしゃる純然たる若い方は? 学生さん?」

【久保田氏】
「はじめまして、久保田彩乃といいます。今月だけ、週に三回くらいYouthCreateのお手伝いをさせていただいてます。名古屋の看護学生です」

【小池】
「わ~、私も名古屋出身だからなんだか親近感~。って、名古屋の学生さんなのに東京のNPOのお手伝いしてるんですか? 今日はたまたま東京に来られてたとか」

【原田氏】
「いや彼女、夜行バスで東京に通ってるんです。うち以外の団体でも色んな活動しているので、週の半分は東京にいて」

【久保田氏】
「(微笑)」

【小池】
「なんだかよくわからないけどとりあえずすごい子だ……」
というわけで今回の取材相手は、私と同じハチロク(86)世代の原田謙介氏と、95年早生まれ(94世代)の久保田彩乃さんの二名。この連載始まって以来のヤングな磁場発生である。

【小池】
「YouthCreateって、どんなことをされている団体なんですか?」

【原田氏】
「若者と政治をつなぐための、色んなプロジェクトを立案・運営している団体です。選挙や政治に関心をもってもらうためのワークショップを開催したり、色んな学校で授業をさせてもらったり。ずっと続けているのは、地域の議員さんと若い人たちが飲みながら気楽に語り合う『Voters Bar』というイベントです。同じような企画を、学生団体を運営していた頃にもやっていたんですけど」

【小池】
「大学生の頃から、政治関係の団体を運営されていたんですか」

【原田氏】
「そうです。学生団体ivotoという団体を大学三年生の時に立ち上げて、卒業までの三年間代表を務めました。僕、大学に六年通ったので(笑)。その団体では、20代の投票率を上げることを目的にしていました」

【小池】
「やっぱり意識高そう。政治の勉強をする学生団体とか、私も学生の時に存在くらいは知ってましたよ。皆ビシッとスーツ着て、名刺持って、政治家とディスカッションとかしちゃうんでしょう」

【原田氏】
「いや、むしろそういう団体だけでは駄目なんじゃないか、という気持ちから作ったのがivoteなんです」

【小池】
「お、と言いますと……」

【原田氏】
「僕、ivoteを立ち上げる前に、国会議員の元でインターンをしていたんですよ。大学に入った頃は、将来は世の中の“仕組み”に関わる仕事がしたいなと思っていて。そのためには法律とか行政とか、色んな分野のことを知ろうと考えて、まず国会議員のインターンをしてみたんです。ありきたりだけど、その経験を通じて、『やっぱり政治って大切なんだ』と考えるようになりました」

【小池】
「若い時ってなんとなく、政治家に対して『悪い奴』ってイメージを持っていたりしますけど……」

【原田氏】
「そうなんですよね。僕も実際、むかつくおっさんに会ったこともあります。でもそれよりも、ちゃんと自分の想いを持って、一生懸命国や地域を良くしようと思っている人がたくさんいたので、イメージは変わりました。
ただインターンをする中で問題だと思ったのは、そこに若者がいないってことです。議員さんと一緒に行動していて、自分と同じような若者に会うことが全然なかったんですね。それじゃあ議員も若者の実態を知る機会がないだろうと。確かに一部の大学には政治系の団体もあるけど、いかにも意識が高そうで、相当政治に興味があるとか、政治家志望だとかいう若者しかそこにはなかなか入り込めないじゃないですか。なら自分たちで団体を作って、軽くても雑でもいいから、政治と若者の接点づくりをしよう、橋渡しの活動をしようと思ったのがivote立ち上げのきっかけなんです」

【小池】
「うーん、私が名古屋の書店で漫画を売りながらちんたらフリーターしている間に、原田さんは既にそんなすごいことを……」
この企画において初めて対峙した同世代が、あまりに優秀でひるむ小池。やはり若いうちから政治に関われるのはこのレベルの人くらいなのだろうか? いや、でも原田氏がivoteで政治家とつなげようとしたのは、私も含めたいわゆる“普通”の若者たちのはず。いったいどのようにその橋渡しの活動が行われたのか。次号に続く!


小池みき:ライター・漫画家
1987年生まれ。郷土史本編集、金融会社勤めなどを経てフリー。書籍制作を中心に、文筆とマンガの両方で活動中。手がけた書籍に『百合のリアル』(牧村朝子著)、『萌えを立体に!』(ミカタン著)など。著書としては、エッセイコミック『同居人の美少女がレズビアンだった件。』がある。名前の通りのラーメン好き



編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月8日の記事『政治と若者をつなぐことはできるのか!?(小池みきの下から選挙入門 .23)』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。