市職員の方に読んでほしい、議会について僕の考え方

長坂 尚登

東日新聞という地元紙に、すごい記者がいらっしゃいます。

伊藤秀昭さんという方で、豊橋市議を6期24年され引退。 今は新聞で、東三河各議会の傍聴記などを執筆されています。 この度の12月定例会でも、一般質問の3日間述べ20時間近くずっと傍聴席におられ、市議の質問、行政の答弁を見続けくださる、ありがたい存在です。

そしてもちろん伊藤さんから、自分がどんなことを書かれるか、そして、他市議についてどんなことを書くか、注目しています。 そして、今回の傍聴記で僕はこんな言葉をいただきました。

長坂氏は、今回取り上げた4項目すべてに再質問なく終わったが、若者らしい大胆な議論や提案を期待したい。

 – 豊橋市議会傍聴記(上)|東日新聞(会員限定) 
 http://www.tonichi.net/news/index.php?id=49455 

おお、再質問のあるなしが、評価されるのか。 でも僕は逆に、なるべく1回の質問で終わるようにしたいと思っています。

少し、議会での質問の仕組みをお伝えします。 あくまで、豊橋市議会での一般質問の話です。

各議員の持ち時間は1時間で、3回まで質問できます。

議員: 質問1回め
⇒行政: 答弁1回め

議員: 質問2回め
⇒行政: 答弁2回め

議員: 質問3回め
⇒行政: 答弁3回め

議員: まとめ 

このように最大3往復できます。 当然、往復させればさせるほど、時間がかかるので、質問できるテーマの数は少なくなります。

感覚的にですが、持ち時間の1時間だと、だいたいテーマ数×質問回数が6くらいが上限、といういう感じです。 2テーマで3往復か、3テーマで2往復くらい。 3テーマで3往復したら、たぶん制限時間オーバーになります。

そして、以前にもブログで書きましたが、僕は議会を「約束」の場、と考えているので、1回めの答弁(行政からの回答)で、引き出したい言葉が引き出せるのならば、それでよいと思っています。 その代わり、議会にはその言葉を引き出すために、丁々発止のやり取りをしています。

 – ひとの質問を笑うな – 愛知豊橋・長坂なおと のblog

そもそも、議員の質疑と、それに対する市役所の答弁は予定調和なんです。 僕も原稿読んでます。 事前に市役所とかなり詰めて、議会の質問に臨んでいます。 僕も少し前までは、ニュースの国会中継とか見て、「原稿読んでんじゃねーよ」とか思ってました、今は反省しています。

テレビ慣れしてしまった僕らは、肉薄した丁々発止なやり取りを期待されるかもしれませんが、残念ながら議会は、テレビのためのエンターテイメントとしてやってるわけではありません。 むしろ、とても儀式的です。 どういう儀式かというと、「約束」の儀式です。 それだけ、議会での発言は重い、特に市役所からの答弁は、内容や答え方によっては、実質的に「〇〇やります」という約束を宣言したことになります。
だから、僕(たち?)は、少しでも踏み込んだ発言を引き出すため、事前に市役所と「もう一歩、踏み込めませんか」「この一言、加えられませんか」と準備をしています。 丁々発止な議論はそこでしています。 別に準備せずに、いきなり質問をぶつけてもいいのですが、そうすると、まず市役所が正確に答えられないし(特に数字や法律・条例の話など)、より守りな答弁になってしまい、結局、意義のある答弁(=〇〇やります、のような言葉)は、引き出しにくいのです。

 – http://nagasakanaoto.blog.jp/150907.html 

質問1回で終わらせられるなら、この方が、一度の議会で取り上げるテーマも増やせるし、それだけたくさん約束も交わせる。

そして、もうひとつの理由が、べつに僕は行政を追及したいわけじゃないんです。 でも、質問を詰んでいくいくと、どうしてもそんな感じになってしまう。

もちろん、明らかな不正があるときは、それはちゃんと追及したいと思います。 そのときは、質問を詰んで、詰めていく形式になるでしょう、きっと。

けれども僕は、選挙期間中の街頭演説でも市役所に向かって言ったけど、行政職員はビジネスパートナーだと思っています。 いっしょにいい豊橋をつくっていく同士。

だから、「議員から言われたからやります」ではなく、「もうやってます」「もう考えてます」「実はやる予定でした」って回答を、一発でいただけるなら、その方が健全じゃないですか、お互いに。 詳しくはここで書かないけど、実際にそういう回答もらったこともあって、「本当に最初から考えてたの!!?」と思ったけど、そんなつまらないことは追及しません、「おお、奇遇ですねー」って感じ。 だってそれで1%でも変わったり、動いたり、何かが始まるなら、それの方がよっぽどいいです。

で、なんでこれを職員に読んでいただきたいかと申しますと、質問の度に、それぞれの担当課の方にこの話をすると、みなさん、きょとんとされるの。 そして、人によっては「いやいやいや」という半信半疑な方も。 これまでの議員がどうだったのかは知りませんが、もうそれだったら、僕はここできちんと明言しておきます。

実は、12月議会で、30分前に行政の回答(答弁)が変わったときには、ほんとここまで(首に手を当てながら)、変更箇所について、突発その場で2回めの質問をしようかと思いました。 けれどもそれは、ビジネスパートナーとしての信頼関係を失うと思ったのでやめました。

では!


愛知豊橋・長坂なおと のblog より

プロフィール
長坂尚登|1983年愛知県豊橋市生まれ。
地元の時習館高校卒業後、東京大進学、コンサルティング会社で働き、10年間東京で過ごす。2012年にUターンし、商店街マネージャーとして、豊橋のまちなかを奔走。2013年から内閣官房より地域活性化伝道師を拝命。
2015年商店街マネージャーを退職し、豊橋市議に立候補。新人トップ当選で、現職(無所属)フェイスブックページ