YouTube動画で人気を集めている「KAZUYA Channel」。毎日夜9時、政治、時事問題などについてわかりやすく伝えてくれるこの動画チャンネルを開設しているのがKAZUYA氏。Youtuberになったきっかけから今の選挙制度に感じる問題点、今後の抱負まで幅広くインタビューしました。
【KAZUYA氏プロフィール】
1988年生まれ。北海道帯広市出身。2012年3月22日に「KAZUYA Channel」を開設。YouTubeのチャンネル登録者数約31万人、総動画投稿数は900動画を越え、チャンネル総再生回数約92,00万回(12月17日時点)。著書に「超日本人の時代お花畑からの脱却」「日本人が知っておくべき『戦争』の話」などがある。
「KAZUYAChannel」を開設した経緯は?
――なぜYoutuberになったのか、そのきっかけを教えてください。
高校生のときに小林よしのりさんの「戦争論」を読んでから、いろんな本やネットから情報を集めるようになり、「猛進するだけじゃなくて、ちょっとおもしろいやり方もあるのかな」って気づいたのがきっかけです。
それに、ネットという場で「言いたい、発信したい」という願望が出てきたんですね。
高校卒業してから就職したんですが、自分は会社員に向いていないなと思って。せっかくの一度きりの人生、何かやってみたいなという感覚があったんです。そんなときに、友達が結婚して、皆で余興の動画を作ることになったんですが、私ひとりでもくもくと作って公開したら好評で。なかなか楽しいなと思いましたね。
――自分の経験と、自分が発信したいものとを重ねあわせてやろうと思ったんですね。とても自然ですね。
もとから、YouTubeやニコニコ動画を結構な頻度で見ていましたし、見ていると何となく根拠のない自信が生まれてくるんです。素人でもこんな風にできるんだから、自分にもできるんじゃないかなと。
ただ、最初から政治の主張をするのは怖いので、芸能の話から始めて見てくれる人が増えたら政治的な方向に徐々に移行していこうと思ったんです。
――政治のことをがんがんやろうと思った理由はなんですか?
既存のいわゆる保守系の活動に対してちょっと外れた事をやろうと思っていたんです。もともと政治を取り上げた動画はありましたけれど、基本的に長くて面白くないものばかりで、正直私は見たことがなかったんですね。それで、手探りではありましたが、インターネット動画で政治に特化したコンテンツを始めたんです。
あの面白い動画は誰が作ってるんですか?編集とかは?
――動画をつくる上でのマーケティングのルールなどは独学で身に着けられたんですか?たとえば1分越えたらダメだとか…。機材にこだわっているとか。
ルールというより「自分だったら見るかな」という観点でつくることを一番重要視しています。機材に関しては、最初は安いビデオカメラ使っていたんですけど、だんだんYouTubeでいろんなレビューを見て影響されて、いろいろ買い出しましたね。
――編集は自分でされるんですか?
全部自分でやります。むしろ自分じゃないとダメなんです。自分の聞きたいタイミングや間で表現したり、字幕で言っていること以外の別の単語入れたりするのは、結局自分の感覚でしかできないので。
――なるほど。プロデューサーの目線で見て作っているわけですね。ちなみに制作にはどのくらいの時間がかかっているんですか?
だいたい1本4時間ぐらいです。台本づくりに1時間はかかりますね。まずネタ集めをして、言うことを全部台本にまとめます。撮影のときはそれを読むだけなので、撮影と編集は意外と早いんです。あとは演技力の問題で台本をいかに自然に読むか、というのがポイントですね。
――淡々と台本を読んでいるからシュールに感じられるし、おもしろい。だから、とてもファンが多いんだと思います。そこで、お聞きしたいんですが、作った動画を広くたくさんに人の見てもらうために、その他どんな工夫をされていますか?
本筋から攻めずに脇道から攻める、ということですね。本筋の人は見てくれるので、それ以外の人たちをどう取り込むかを考えています。政治と全然関係ない話題でまずは動画を見てもらい、それからこっちに引き込みます。そのときどきで、流行っているネタを入れたり、サムネに使ってみたり…。政治とは何にも関係ない話題から始めたりしています。
あとは、今後はテレビでは取り上げられないようなことをネットでできたらいいなと。今年、だいぶ機材も拡張できましたし。比較的まじめな番組にしちゃいけないなと思っているんですよ。
動画のシステム上、真面目なものはテレビのニュースでも見ればいいわけで、ちょっと外れたことをやるのがネットの役割だと思っています。
若い人が政治に関心を持つには?
――政治家の方の中には、ネットでの活動を避けていたり不十分だったりする人も多いんですが、プロデューサー的な立場からアドバイスするとしたら、何を伝えたいですか?
たとえば、高い年齢層の議員さんの場合、ネットについてよくわかっていない部分があると思うんです。ツイッターにしても、Facebookにしても、選挙前に唐突に始めて「今日はどこで演説しました」「何食べました」とかをアップする。でも、そんなの誰も興味ないんですよ。例えばそれが人気ある小泉進次郎さんとか、すごい美人がやったとかなら別ですけど。だから、まずは自分が関心を持って、やり方を変えていくことが大切だと思います。
でも、ネットというのは、まだ相当なマイノリティーなんですよね。ネットで動画や記事を見ている人でも、本当に選挙に行っているのかどうか、実際のところわからないですよね?実際にネットを使う世代が主流派にならないと、やり方を考えるにしても難しい部分はあると思います。
――KAZUYAは若い方の政治への関心を高めるのに一役買っていると思いますが、今年はSEALDsも存在が目立ちました。彼らについてどう思いますか?
そうですね。どっちの方向であれ、関心を持つということはとても良いことではないかと思います。
――今後も、一般の若い人たちが、政治に感心を持って動き出すようになると思いますか?
若い人たちのほとんどが政治に関心がないですからね。今の日本は平和すぎるから、この恵まれた水準の生活をさらに進めようと考える人って少なくなってきていると思うんです。
だから今後、日本に重大な危機が訪れて、人間が生存の危機に瀕するようなことがなければ、必死にならないと思うんです。もちろん、本当の危機が訪れては困るんですけれど…。だから、SEALDsとかやっている人たちも、本当の危機になったら、本質的なことがわかるんじゃないかなと思います。
KAZUYAさんは将来選挙に出馬するの?
――今の日本の選挙についてどう思いますか?
実際の選挙を何回か見て、公職選挙法はすごくガチガチに厳しいんだな、というのを感じます。現代にあってないんじゃないかな、と思う部分が多々ありますね。結構前にあったうちわが利益供与になるのかならないのか、という争いなんかは、実にくだらないと思うんですよね。
――この先の自分の将来像はどんなふうに描いていますか?たとえば、世の中を変えるために政治家になろう、という気持ちはないですか?
それはないですね。政治家になると、言いたいことがいえなくなってしまうので…。まずは、やっぱり映像を作りたいですし、勉強不足なところについていろいろ学んで、短いながらも凝った動画を作りたいです。
あと、学校では習わないけれど、日本人が最低限知っておくべきような基礎的な知識。よりよい人間になるための教育、こういう一番重要な部分をシリーズものにして、いろいろな人に向けてネットで発信してみたいですね。
――選挙ドットコムも、いろんな人に見てもらいたいと思っているんですが、選挙に関心のない人も見てもらうようなサイトにするために、私たちにアドバイスをいただけますか?
いかに知ってもらい関心をさせるか。本当に関心さえもってもらえれば、嫌でも調べると思うので。脇道からせめるのもいいですし、面白い話題とか、国会の裏側とか、議員宿舎の設備と家賃の話題とか、なんでもいいと思うんです。そこから、選挙の領域まで持っていくかがキーポイントだと思います。
――なるほど。多くの方に興味を持っていただける内容にしていくために、頑張っていきたいと思います。ぜひ、KAZUYAさんともコラボレーションさせていただけたら嬉しいです。ありがとうございました。
選挙ドットコム編集部
編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月19日の記事『再生回数9200万回!最強の政治系you tuber、KAZUYAはどのように誕生したのか』を転載させていただきました(見出しはアゴラ編集部で改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。