シェアエコノミーのイベントが永田町で開かれる訳 --- 選挙ドットコム

近年、複数人とともに居住する「シェアハウス」や、個人の空き部屋をインターネットで仲介する「Airbnb」など、「共有」する生活様式が注目されています。

かく言う僕自身も、友人たちと、豪華な一戸建てシェアハウスに住んでいます。
参考:「白黒つけない上野パンダタワー」

家だけではなく、配車サービスの「Ubre」など、「シェアリングエコノミー」と呼ばれるような「お互いの共有」で成り立つ経済が幅広く見受けられるようになっています。
参考:シェアリングエコノミーとは?


「シェアリングエコノミーから始まるライフスタイル提案メディア」サイトより

先月にはシェアリングエコノミーの祭典、「Share!Share!Share!」が実施され、なんと3,000人を超える参加者が集まったそうです。

たとえば、個人の空き部屋をインターネットで仲介するAirbnbの物件登録数は190カ国150万件以上。宿泊客数は2500万人(2015年10月現在)。2008年に始まったばかりだと言うのに、世界のどのホテルチェーンよりも圧倒的に多い。(Share!Share!Share!実行委員コンセプト文章より抜粋)
と、世界的にも日本的にも広がりを見せています。

最先端が、なぜオールドな議員会館で?


12月14日には、「シェアリングエコノミー協会」が発足され、衆議院会館で記者会見が行われました。地域体験シェアのガイアックス、スペースシェアのスペースマーケット、子育てシェアのAsMama、ご近所サポートシェアのエニタイムズ、知識スキルシェアのココナラ、スキルシェアのクラウドワークスなどが中心になっているそうです。
参考:「シェアリングエコノミー協会」が発足–ガイアックスやクラウドワークスなど6社

しかしなぜ、この記者会見は国会議事堂前にある「衆議院議員会館」で行われているのでしょうか?
最先端のライフスタイルなら、渋谷や六本木のチョーイケているカフェやクラブで記者会見を行なった方が、イメージに合っているでしょう。なぜ、「伝統」「古臭い」イメージのつきまとう、政治の場を使っているのでしょうか?


「シェアリングエコノミーから始まるライフスタイル提案メディア」サイトより

最先端=規制のその先


その答えは、「政治」と「規制緩和」です。「シェアリングエコノミー」は、個々人の間の貸し借りです。

実はこれ、法律で禁止されている部分がとても多いのです。例えば、自分の家を外国人観光客に貸す「Airbnb」ですが、これは実は違法行為に当たる可能性がとても高いものです。有料で人を泊める施設は旅館業法で定められており、個々人の家の貸し借りはグレーです。

そのため、「シェアリングエコノミー協会」が目指すライフスタイルを広めるためには、法律で規制を緩和しなければなりません。実際に東京の大田区では、国家戦略特区という形で、民泊が認められるにいたっています。
参考:大田区「民泊」1月から、国家戦略特区活用

また、企業が間に挟まらず、個人間で直接支払いが発生すると、金銭トラブルや犯罪が起こりうる可能性もあり、そのトラブルをどう防ぐかも、考えていかなければなりません。そのために、まずは規制を緩和しつつ、同時にトラブルを防ぐためのルール作りが必要になります。つまり、ルールを決める政治の登場です!

「永田町の中の世論」を作る


シェアリングエコノミー協会のように新しい世の中の動きを、政治家にどう伝えるか。そして、どう政治を変えていくか。このときに、「世論」と「永田町の世論」の2つが大事になってきます。
世論はそのまま、みなさんがイメージする世論です。しかし、政治家は「永田町」という特殊な世界に住んでいますので、なかなか世の中の流行りには気付いてくれません。そこで、こちらから永田町の中に行き、イベントを行うことで、政治家の方々に活動を知ってもらうのです。

「シェアリングエコノミー協会」の発足会見にもシェアリングエコノミーを推進する自民党IT戦略特命委員会事務局長の福田峰之氏が登壇されておりました。こうして、政治家を巻き込んだイベントを行うことで、

「そう言えばこの前、◯◯さんがシェアリングなんとかのイベント行ってたな」
「若い議員がなんとかエコノミーのイベント行ってたけど、世の中の流行りなの?」

と、「永田町の中で話題」にしてもらえます。そのため、世の中全体での盛り上がりと同時に、「永田町の世論」の盛り上がりを作るために、この手の最先端のライフスタイル・ビジネスの勉強会やイベントは、議員活動で行われることが度々あります。

僕も2012年頃、民間の立場からネット選挙解禁を目指しOneVoiceCampaignというキャンペーンを行なったことがあります。このときも、ネット上で話題を作るだけではなく、議員会館で、国会議員を対象とした勉強会を行なってきました。その結果、各政党の議員さんたちにネット選挙に関心をもってもらい、最終的にはネット選挙が解禁され、安倍首相にまで「OneVoiceCampaign」が言及されました。


「ネット選挙運動解禁 安倍総理メッセージ-平成25年6月26日」より
安倍首相は、「自動運転車」などにも一定の理解を示していますので、シェアリングエコノミーも

今後、政治からの応援もあり、ますます進んでいくかもしれませんね!
参考:安倍晋三首相東京五輪までに「自動運転車」普及科学技術のフォーラムで

増沢諒:食べる政治代表
1988年長野市出身。早稲田大学卒業後、ITベンチャーでの勤務を経て、現在、東工大大学院修士課程。研究テーマは「ネットと政治」。ネット選挙解禁を目指す活動「One Voice Campaign」をはじめとし、様々な啓蒙活動を展開。2014年マニフェスト大賞受賞。
Twitter:mojamoja_megane
WEBサイト:http://taberuseiji.com/



編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。