国「花火は文化でない」豊橋市「○○は文化でない」

先日、豊橋市議会では12月の定例会が無事、おわりました。

しかし、今年は5年に一度の当たり年。 様々な5ヵ年計画が来年から切り替わったり、更新されるので、その計画づくりの真っ只中。 そのための委員会が毎日のように開催されています。

そのうちのひとつがこちら。

豊橋市文化振興指針 改訂版(案)

先にお伝えしておくと、ぼくは「文化」という言葉がきらいです。

「文化」がきらいなわけではないですよ、「文化」という言葉がきらいなのです。 なぜかというと、「文化のため」というと、まるで錦の御旗のように絶対善のように捉え、触れちゃいけない、反してはいけないもののように取り扱い、思考停止に陥るからです。

また、それが指している範囲・対象も不明瞭なのが曲者です。 だから僕は「これは文化だから」と、聞いたりしたときは、眉に唾をつけて話を聞きます。 同じようにぼくが警戒している言葉は、「環境」や「未来」など。

というわけで、この資料を読み始めてすぐ探したのは、「文化」が何を指しているか、です。

…ありました。

これは非常に好感です。

「文化」のように、ぼやっとした、人によって捉えるものが違う言葉を使うときには、議論を成立させるために、まず言葉の定義が重要です。

それについては、本指針(案)でも、

平成13年策定の指針では、対象とする文化の範囲を定義していませんでした。

しかし、本指針では、施策として取り組む文化の範囲をわかりやすい形で表す必要性がある 

と定義の重要性について、意見は一致してるようで、下記のものを「対象とする文化の範囲」としています。

  • 芸術: 文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踏その他の芸術
  • メディア芸術: 映画、漫画、アニメーションなど
  • 伝統芸能: 雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他の我が国古来の伝統的な芸能
  • 芸能: 講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能
  • その他: 茶華道・書道などの生活文化、囲碁・将棋等の国民娯楽、文化財 

これは、国の「文化芸術振興基本法」に準じているようです。

さて、僕は本件担当の総務委員会のメンバー(委員)ではないので、議会と行政とのやり取りについては、ただ聞いている(傍聴する)のみなのですが、その中で、よく取り上げられたのがこちら。

豊橋文化

豊橋地域に伝えられている伝統芸能や長い間受け継がれてきた文化財、あるいは、市民による特色ある芸術文化活動など、地域の特徴ある文化資源

と定義しています。 やはり、豊橋の伝統芸能と言ったら、あれですよ…あれ、ない…3回くらい最初から最後まで見返しましたが、やはり載っていない。 手筒花火…

ちなみに、手筒花火が載っていないのに、掲載されていたものは、

  • 地芝居(ふるさと歌舞伎、素人歌舞伎)
  • 飽海人形浄瑠璃(吉田文楽)
  • 邦楽(民謡・大正琴・尺八など)

まあ、当然聞きますよね。

(総務委員会直後)

-すみません、この「対象とする文化」に、花火や手筒花火は入っていないんですか?

担当課「えぇ、入っていません」

-まず、この国の「文化芸術基本法」の「その他の」や「など」の部分に、花火は含まれていないんですか?

担当課「入っていないみたいです」

-じゃあ、この文化振興指針の対象に、手筒花火は入れてないのですか?

担当課「今の段階では入っていないですね」

-確認ですけど、豊橋市のシティプロモーションでもめっちゃ推してて、上げてる人も多いですし、豊橋市民の一般的な感覚として、「豊橋の伝統芸能」といえば、真っ先に手筒花火が上がると思いますが、それでも入れなくていいんですか?

担当課「まだ、(案)の段階なので、これから募集するパブリックコメントなどを見ながら…」

-入れた方がいいと思いますけど…

というわけで、豊橋市としてあれだけいろいろやっている手筒花火ですが、現時点では、政策的に「文化」として捉えていないようです。 ひとりの打ち手としても、とても悲しいです。 国も花火を「文化」としていない様子で、いやー、ほんと「文化」って何なんでしょう。

余談ですが、国や県は「文化芸術」という言葉を使っているのに対し、豊橋市の本指針(案)では「芸術文化」という言葉が使われています。 このちがいは何なんでしょう。

意外とこういうところに何かがあったりするんですよね

では!


愛知豊橋・長坂なおと のblog より

プロフィール
長坂尚登|1983年愛知県豊橋市生まれ。
地元の時習館高校卒業後、東京大進学、コンサルティング会社で働き、10年間東京で過ごす。2012年にUターンし、商店街マネージャーとして、豊橋のまちなかを奔走。2013年から内閣官房より地域活性化伝道師を拝命。
2015年商店街マネージャーを退職し、豊橋市議に立候補。新人トップ当選で、現職(無所属)フェイスブックページ