次の成長へ新たな礎を築いた1年 --- 岩瀬 大輔

アゴラ

今年もあとちょっとですね。2015年はライフネット生命にとって、将来の成長に向けた新たな礎を築くことになった1年でした。

まず、就業不能保険という新たな市場を開拓すべく、新しい「ネット生保+α」のビジネスモデル構築のために、ほけんの窓口グループを通じた販売にチャレンジしました。年初には私自身も70を超える首都圏の店舗を訪問させて頂くとともに、地方都市で特別勉強会という形で就業不能保険について理解を深めるための取り組みをしてきました。年後半にかけて少しずつですが、就業不能保険に関する相談のためにほけんの窓口に行かれ、説明を聞き納得して申込みをされる方や、当社のコンタクトセンターに問い合わせを頂くお客さまが増えてきています。マスコミの保険特集でも就業不能保険が一つのカテゴリーとして取り上げられていることも珍しくなくなってきたようです。

次に、スマホ時代における新しい生命保険流通のありかたを創るべく、KDDI社と資本業務提携を行いました。15%を超える筆頭株主になって頂き、現在多岐にわたる協力関係を準備中です。これまではPCを前提として作ったビジネスモデルをスマホ画面に置き換えるにとどまっていたのですが、来春以降はより簡単・便利・お得なサービスを同社とともに提供していきたいと考えています。

さらに、ネット直販を強化すべく、電話を通じた保険相談サービスを大幅強化するとともに、スマホを通じた給付金などの請求受付など、より便利にご利用頂けるサービス強化に努めてきました。こういったこともあり、J.D.パワー社の顧客満足度調査では同率1位に選ばれたり、その他各社の第三者評価においても高く評価を頂きました。

創業から上場直後までの勢いを取り戻すべく試行錯誤を重ねてきたこの数年間ですが、少しずつ、次の成長に向けた基盤が整ってきたように感じています。

最後に。年末にハーバード・ビジネス・レビューの岩佐編集長にお誘い頂き、会社の仲間と共に「仕事で大切にしていること」を絵で表現する機会をもらったことがとても印象に残っています。

来月発売号に掲載予定なので少しだけネタバレになってしまうのですが、そのときに自分にとって大切なものとして答えたのが、 「仲間、自由、伸びやかさ」といったものです。多様なバックグラウンドを持った才能豊かな仲間と共に、色々なものを重ねあうことで、創造的、伸びやかにビジネスを作っていく。設計図のない、航路のないベンチャーの旅では、出来上がるまでどうなるかわからない絵を描いていくことになる。こういった自分の原点を思い出し、最近は少し肩苦しくなっていたかもしれないなと反省しました。

個人でいうと、社内業務に専念すべく、講演や出版など対外的な発信はほとんどお断りし、かつ海外出張や社外業務も必要最低限に絞り込んで社内に篭っていた一年でした。来年こそは自分らしさを発揮できるよう、自由で、創造的で伸びやかな形で仕事に向き合っていきたいと思います。

それでは皆さま、よいお年をお迎えください。


編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2015年12月30日の記事「ライフネット生命の2015年を振り返って 」を転載させていただきました(編集部でタイトル改稿)。オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。