世界の隅々まで争い事が広まる昨今、新年くらいは心に余裕を持って出発したいと思い、こんな世相評論を書いて見ました。
寸鉄人を刺すと言う言葉がありますが「寸笑、世相を刺す」ことが出来れば幸いです。
大人しい筈の羊(未)の年であった2015年も、世界各地で暴力紛争や経済混乱が続き、 2015年の漢字は1位の「安」より、2位の「爆」や3位の「戦」の方が相応しく思える1年でした。
そして迎えた年末、主要各国の国民が「私たちの来たる年が、幸福に満ちた良い年でありますように」と祈る中、北朝鮮の国民だけは「私たちの来たる年が、ありますように」と祈ったと伝えられるほど北朝鮮国民の忍耐が限度に近ついている事が気になります。
2015年のノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智博士と物理学賞に輝いた梶田隆章博士は口を揃えて、難題解決(偉業達成)には「好奇心と独創性」が肝要だといわれました。
そこで、好奇心に導かれた独創的な業績に与えられる世界的な学術賞を検索しますと、示唆に富んだ多くの業績が見つかりました。
例えば、安倍首相が「1億総活躍」に挑戦するなら、その前に「 数百万人の労働時間を仮想的なペットの飼育に転換した業績」で1997年の「経済学賞」を受けた横井昭裕氏や 真板亜紀氏(「たまごっち」の発明)に相談して国費の節約を図るべきでしょう。
又、夫婦別姓問題も「生産性と名前の関係を研究した結果、 名前をつけられた牛は、名無しの牛よりもたくさんの牛乳を出す」ことを示して2009年に獣医学賞を受賞した、イギリス・ニューカッスル大学のキャサリン・ダグラス、 ピーター・ロウリンソン両教授の研究は見逃せません。
年功序列の可否や社員の評価基準の問題も「昇進させる人物をランダムに選んだ方が、組織はより効率的になることを数学的に証明した業績」で、2010年度の経営学賞を受賞したイタリア・カターニア大学のアレッサンドロ・プルチーノ、アンドレア・ラピサルダ、チェーザレ・ガロファロ 各教授の研究は、年功序列か実力主義かで揉める企業の論争に終止符を打つ可能性があります。
問題解決の重要なヒントは学問だけでなく、歴史の古い国の習慣にも隠されています。
世界各国から攻撃の対象になっている日本の男女共同参画問題も、男性は労働と意思決定を担い、女性は重労働と重要な意思決定を担うと言う具合に男女の役割が明確に分かれているイタリアの家庭の例は注目に値します。
日本に限らず中韓の指導者の勉強不足も頂けません。
「大声、痰吐き、落書き」などで悪名高い中国人観光客のマナー向上策に腐心する中国政府は、習主席までが登場して対策に躍起と報道されていますが、何よりも先に「300万人のシンガポール市民を30年間に亘り罰し続けて国民のマナーを向上させ、世界最悪の都市からモデル都市に導いた業績」で、1994年度の心理学賞を受賞した故リー・クアンユー元首相に教えを乞うべきでした。
又、予算不足に悩む韓国海軍が、費用節約の為に海外技術を模倣して国産化した主砲が、実戦訓練中に暴発して自軍の水兵が重傷を負ったり、主砲が突然操作不能になると言う前代未聞のトラブルに再三見舞われていますが、この問題も「イギリス海軍 水兵に実砲を使うことを止めさせ、代わりに『バーン!』と叫ばせたことで 射撃訓練における実弾使用を減らして安全の確保と予算節減に貢献した業績」で、2000年度の平和賞を受賞したイギリス海軍の実例があり、ドイツに学べと日本にお説教する前に韓国はイギリスに学ぶべきす。
この様に世界には頭の痛い問題が山積していますが、我々国民も全てを政府の責任にするのではなく「 なぜキツツキは頭痛がしないか」を解明して、2006年度の鳥類学賞を受賞したカリフォルニア大学デービス校のアイヴァン・R・シュワブ教授の研究成果を読むくらいの努力はしたいものです。
尚、ここに挙げた世界的学術賞とは「イグノーベル賞」の事です。
北村 隆司