若い世代が求める地域コミュニティは町内会ではない --- 伊藤 陽平


Yahooニュースでこのような記事を発見しました。

町内会って、そもそも入る必要あるのか 小栗旬・山田優夫妻「ご近所トラブル」で浮かんだこと
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160106-00000001-jct-soci

新宿区にも「町会」があります。

町会のご案内(落二管内)

まず、町内会(町会)がどのような目的で作られた組織なのか、ルーツを見ていきましょう。
以下、Wikipediaより引用します。

元々は1937年の日中戦争の頃から日本各地で組織され始め、太平洋戦争の戦時下に大政翼賛会の最末端組織として1940年に市には「町内会」、町村には「部落会」が国によって整備されたのが起源であるとされる。戦時下には内部に「隣組」があった[15]。戦前においては、戦争遂行に大きな役割を果たした。

戦後、民主化と日本国憲法の施行に伴い1947年5月3日いわゆるポツダム政令15号[16]が公布され、「町内会」、「部落会」、それらの「連合会」等の結成が禁止されることになった。サンフランシスコ講和条約の発効に伴いその半年後の1952年10月25日に5年半ぶりに禁止が解かれると、自治組織として再組織化されるようになり、今日まで続いている。ただし、当該解禁以降、一部の省の訓令には事実上の存在として「町内会」の文言の登場例が数例あるものの、国民一般への法的拘束力を有する法律・政令・府省令には町内会に関する規定が全くなく、行政組織(国及び地方自治体)とは法的に無関係な存在となっている。(Wikipedia)

町内会(町会)は、戦時中に行政が地域の細部まで住民を統制することを目的に誕生した組織だということがわかります。

そして、新宿区のホームページを見ると、「組織案内→出張所→町会」とリンクが貼られています。
今では「法的に無関係」ということにはなっていますが、客観的に見れば自治組織ではなく、「新宿区直系の組織」に見えてしまう状況です。

議会でも「若年層の町会加入を促進する必要がある。」という話が出ているほど深刻な問題です。
しかし、少なくとも若年層の加入に限って言えば、今のままではマーケティング戦略的にも難しいということを自覚する必要があります。

防災の観点からも地域のコミュニティ自体は必要だと思いますが、まず、若年層が地域や社会に貢献するコミュニティ自体の成長を見落としてはいけません。

例えば、私も含めてボランティア等を通じて社会に貢献したいと考えている意識高い系の若年層も一定数存在しています。
しかし、意識高い系の若年層は、NPO法人等のブームとともに、自由で多様な価値観を持つ人たちが活躍できるボランティア市場・ソーシャルビジネス市場へ吸収されています。

この流れに歯止めをかけることは難しいでしょう。

町会での取り組みは下記の通りです。

防災に関すること
1 災害が発生した時は、いち早く避難誘導や避難施設での自主活動を、関係行政機関と連携して展開します。
2 区役所から日常の災害に備えた訓練や、常備品のご案内をお知らせします。
3 地区の消防団との連携を図り、火事や水害等が発生した時の避難誘導を行っています。

住みよいまちづくりに関すること
1 会員の親睦のために、盆踊り、お祭り、バス旅行等を会の状況に応じて行っています。また、区主催のレクリエーション大会へも毎年参加しています。
2 会員の訃報のお知らせや、お祝いごとへの記念品の贈呈を行う町会もあります。
3 防犯・防火活動・交通安全運動への協力をしています。
4 ゴミの出し方や不用品のリサイクル回収運動を実施しています。
5 日本赤十字への献血や社資の募集への協力をしています。
6 お年よりに対する福祉活動を活発に行っています。
7 年末には歳末夜回りを実施している町会もあります。

これを見ても、ほとんどが町会に入らなくてもできることです。

そもそも若年層の私から見ても、魅力的なコンテンツとは言い難いです。
自由意志であれば、加入するという決断には至らない可能性は高いと思います。

そして、このような戦時中に誕生した組織は、メンバーや慣習などが若者の文化と比べると「古い」という印象を打ち消すことは難しいと思います。
先進的なNPO法人が密集する新宿区に住む若年層にとって、町会が魅力的なコミュニティだと判断できるような理由が必要です。

多くの課題が、民間市場で取り組めるようになった昨今、町会にこだわる理由を探すことの方が難しいでしょう。
私が議会活動に取り組む際には、若年層の町会加入を増やすことよりも、財政的にも優しい若年層のボランティアが自由に活躍するための提言をしていきたいと思っています。

先ほどの町会の活動の中に、「盆踊り、お祭り」とありますが、若手不足や担い手がいないということで運営に苦労する町会も多いと思います。

本当に盆踊りやお祭りが必要であれば担い手は出てくると思いますが、運営を存続するという点では、まずは町会外の意識高い系若者を巻き込むことが一つの手段として考えられます。

町会という形式が変わってしまったとしても、多様な地域参加の方法を考えていくことが大切です。

実際にグリーンバード新宿では、盆踊りやお祭りなどのお手伝いとして若年層のボランティアが活動しています。

私も町会を全否定しているわけではありませんので、もし若者がたくさん参加している(ほぼ強制的ではなくそれぞれの意思で)、若者に人気の町内会事例などございましたら、教えていただければ幸いです^^

それでは本日はこの辺で。


伊藤陽平 東京都新宿区議会議員(日本を元気にする会)
http://itoyohei.com/
プロフィール 1987年12月22日生まれ、27歳。立教大学経済学部経済政策学科卒業。2015年4月の区議選で最年少当選。