SMAPの人生を考えるとゾッとしなくも… --- 松田 公太

昨夜、たまたまSMAP一人ひとりが解散騒動について生放送で謝罪しているところを見ました(最後の1、2分でしたが)。

今後もグループとして活動を継続していくとのことでしたので、ファンにとっては大変喜ばしいことなのかもしれません。「解散反対」や「多くのファンの期待、願いに応えて存続することはよかった」とのコメントが大臣や総理からもありました。

しかし、ちょっと別の角度から考えると、結成して25年も頑張り、十分会社にも恩返しをしてきた彼ら(そしてマネージャー)が独立を断念せざるを得なかったという結果は、本当に良いことだったのでしょうか。私にはむしろ日本の「独立」に対するネガティブ思考や、芸能界の闇の部分(芸能人を縛るのが当たり前という風習)を露呈しているよう見えてしまいます。

さらに、今となっては独立を考えたメンバーが「造反者」のように扱われているのも解せません。報道ベースでは、少なくとも今年9月の契約満了までは続けてから辞めるという事でしたので、契約的に何か瑕疵があったようにも思えません(「契約」や「誓約」を破ると言うなら大問題ですが)。

比較的短期間の契約で独立が可能で、収入の配分比率も高い他の先進民主主義国家のアーティストの処遇と比較すると、あまりにも日本の「スター」はかわいそうになります。

そして、以前から(芸能界に疎い)私の耳にさえ入ってきていた話から推察すると、独立を志向したメンバーも、どちらかというとマネージャーや創業一族との後継者争いに巻き込まれたところが多分にありそうです(あくまでも噂ですが、メンバーの中には、その後継者の一人として目されている人もいるそうです…)。

また、労働条件等を巡って事務所と対立し、全く言い分を聞いてもらえずに独立や移籍を余儀なくされ、その後も元の事務所が業界に圧力をかけるというケースもよく聞きます(再び脚光を浴びることができるアーティストはかなり限られています)。

大物芸人から「芸能界に人権なんて無い」という発言もありましたが、この業界では幸福追求権や労働基本権など、個人の尊厳を維持するために不可欠なものがないがしろにされていると感じることが多々あります。

ファンからは「5人が笑顔で歌ってくれることが一番です」というメッセージが数多く寄せられているようですが、その笑顔を無理に作ってこれから何年も歌い続けなくてはならないとしたら・・・彼ら自身の人生を考えるとゾッとしないでもありません。

事務所にも日本にも十分に貢献してくれたSMAPのメンバーひとり一人が、近い将来は本当の幸せ(勿論、それが事務所に残ることだと本心から思えたなら、それが一番良いことだとは思いますが)を掴むことができるよう願っています。

SMAPが大好きというなら、メンバーの独立を応援してあげるのもファンとしての在り方ではないでしょうか。

彼らにも世界に一つだけの花を目指す権利はあるのです。



編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年1月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。