党議拘束が議会政治をダメにしている --- 天野 貴昭

SNS界隈はすっかりSMAP一色で、僕も流行に乗って追記事書こうかと思いましたが…やっぱりガラでもないのでやめました(笑)

変わりに今回はこちらの記事について私見を述べたいと思います。

20日の参院本会議で行われた改正給与法の採決で、日本を元気にする会の松田公太代表ら一部議員が反対票を投じ、統一会派を組む維新の党と賛否が割れた。同一会派所属議員が同じ行動を取らないのは異例だ。

民主党は「理解しがたい」(枝野幸男幹事長)と批判している。

加藤敏幸参院国対委員長は党参院議員総会で、参院維新幹部の事前説明に対し、「それで会派と言えるのか」と苦言を呈したことを明かした。

時事通信1月20日「維新・元気、賛否割れる=改正給与法採決で-国会」

確かに日本に限らず議院内閣制を採用する殆どの国では、何らかの形で党議拘束を採用しています。それは議院内閣制における首相が(アメリカ大統領の様に)国民の選挙で選ばれてなったわけではないので、首長の正統性が議会の支持の上に成立しているからです。

…従って、ここだけ見ると枝野さんや加藤さんの不快感は一見適切な様に見えます。

【「政治改革」より「選挙改革」を】
しかし、日本の議院内閣制にはその以前の部分…「選挙制度」におかしな点があるので、そこを考査せずに批判する両人にはかなり疑問を持ちました。

日本と同じく議院内閣制で党議拘束のあるイギリスでは、選挙の際に候補者は独自の政策…ではなくて「政党のマニュフェスト」を延々と訴えます(※つまり候補者個人の意見はそんなに重要ではないのです)。有権者は政治家個人ではなく政党のマニュフェストに投票します。殆どの候補は落下傘候補で選挙区を決めるのは候補者でなく政党本部です、だから世襲議員も生まれません。そして選挙資金の個人持ち出し額に強い制限があります。といっても、政治家個人の顔を売る必要が無いので選挙カーも膨大なチラシもいりませんから、そもそも候補者自身の活動には日本ほどお金がかからないのです。

対してアメリカは候補者自身が資金を集め、パーティーを開き、自分個人の政策や実績をアピールして戦います。世襲・地盤・看板・カバンが物をいう候補者中心の選挙です。(日本に近いですね)

ただ、アメリカの候補者は実力で選挙を勝ち上がって来た自負がありますから、議会で党議拘束がありません。そもそも(日本の政党でいう所の)「党首」という役職が存在しません(※大統領は党首ではありません。全議員が自分の意見で議会採決に挑みます)。

…何だかヤヤコシクなって来たので、話をまとめます(汗)

日本は「大統領制を採用する国(国民が直接選挙で首長を選ぶ国)の選挙制度」を選択しながら「議院内閣制を運営している」という実に不可解な政治体制を取っているのです。

①もし議院内閣制を継続するならば、英国のようにマニフェストを前面に出した選挙戦にして、全候補を地盤から離すべきです。でもこれははっきり断言します「そんな事、今更絶対無理です」

②だからもし改革するなら「国政選挙は全候補を比例選抜」にするか

③従来の選挙形態に併せて、首相公選制を導入し、党議拘束を撤廃する

この何れかを実行しないから我々はいつまでも「NOと言えない与党」vs「NOしか言わない野党」のオママゴトみたいな議会運営を続けなくてはならない…僕はそう危惧しています。

皆さんはどう考えますか?

天野貴昭
トータルトレーニング&コンディショニングラボ/エアグランド代表