追悼・澤昭裕先生(僕が官僚になるきっかけの恩師) --- 井上 貴至

恩師の澤昭裕(さわあきひろ)先生が、58歳の若さで先週亡くなられた。

澤先生は、元経済産業省の官僚。京都議定書を締結した時(2001年)の環境政策課長。退職後も、特にエネルギー政策について、冷静で現実的な政策を提言し続けてこられた。

僕が東大に入学した2004年からは、東大先端科学技術研究センター教授に転身。政策研究とともに、総長補佐として大学改革にも熱心に取り組まれていた。

僕が澤先生に教わったのは、大学2年生のとき。商店街の振興について、実地で考えるとともに、座学で行政学や組織論を学んだ。ドラッカーやA.Oハーシュマンを初めて読んだのも、澤ゼミだ。

そして、東大生とはいえ、まだテレビの中でしか知らなかった官僚の魅力政策立案のダイナミズムについて熱く語っていただいた。澤先生と出会って、「官僚は、面白そう!」と、初めて思った。

澤先生から教わったことは、10年経った今も、実務で試行錯誤する中で、反芻することが少なくない。例えば、商店街の構造。「商店街とは、ヨコの組織。それぞれの店主が独立したオーナー。商店街の振興組合の会長が「やるぞ!」と言ってもなかなか動かない。タテの組織とは違う動かし方が重要。」本質を捉えた澤先生の言葉は、まさに時を超える。

同じ大阪市出身・同じ官僚の道に進んだこともあり、ゼミが終わった後もよく可愛がっていただいた。最近はなかなかお会いすることができなかったが、もっともっと澤先生から学びたかった

心からご冥福をお祈り申し上げたい。

澤先生が亡くなる直前1月4日に書かれた「私の提言 総集編」
http://ieei.or.jp/2016/01/sawa-akihiro-blog160104/


<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html

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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年1月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。