【映画評】さらば あぶない刑事 --- 渡 まち子

長い間横浜の街を守ってきた、横浜港署捜査課のタカこと鷹山敏樹とユージこと大下勇次の両刑事。2人は、定年を5日後に控えつつも、宿敵・銀星会の残党を追い、ブラックマーケットに踏み込むなど、大暴れしていた。そんな時、裏社会での縄張りを世界中に拡大している中南米マフィアが、横浜に進出してくる。愛する街と愛する人を守るため、かつてない凶悪な敵を相手に、タカとユージは、刑事人生最後の戦いに挑んでいく…。

テレビドラマ、映画共に大人気を博した刑事アクション「あぶない刑事」シリーズの完結編「さらば あぶない刑事」。あぶデカの愛称で親しまれたこのシリーズは、1986年のTV放送開始から30年。日本の「マイアミ・バイス」との触れ込みで、スタートした大人気バディ・ムービーだ。お決まりの刑事ものだが、女性に優しく悪を許さないタカことダンディー鷹山、弱い者を見ると放っておけない正義感ユージことセクシー大下の2人のキャラは決してブレない。

演じる舘ひろしと柴田恭兵はともに60代半ばだが、バイクに乗り、全力疾走し、体をはった芝居をみせてくれる。宿敵の銀星会はもとより、薫や透、定年組まで顔をそろえて、なつかしさいっぱいの展開は、まさにシリーズ最後にふさわしいファンサービスだ。悪役で最強の敵である中南米マフィアのガルシアを演じる吉川晃司のキレキレの演技も効いている。展開はもちろん荒唐無稽。だが、タカとユージのユーモラスな掛け合いの楽しさ、スタイリッッシュなアクション、そして友情と絆と、フィナーレならではの“ショータイム”となった。ラスト、彼らのその後のエピソードに、ファンは、続編(スピンオフ)をちょっぴり期待してしまうかもしれない。
【60点】
(原題「さらば あぶない刑事」)
(日本/村川透監督/舘ひろし、柴田恭兵、仲村トオル、他)
(ショータイム度:★★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年2月1日の記事を転載させていただきました(画像はアゴラ編集部)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。