開かぬなら壊してしまえ空き店舗 --- 井上 貴至

空き店舗やシャッター街は「地方衰退の一つの象徴」と捉えられており、「なんとかすべきだ」という声もよく伺う。しかし、空き店舗がない状態を理想と捉えてそこを目指すのは、もうやめた方がいい

なぜなら、「空き店舗」の問題は、ひとつの地域だけでは、今も、これからも、解決しようがないからだ。

【経済状況】
交通網の発達による「大型店」の増加
通信網の発達による「ネット販売」の増加

【人口状況】
日本全体の「人口減少」
県庁所在地など中心部への「人口流入」

という状況を踏まえると、田舎の店舗の全てが栄えるわけがないし、この流れはおそらく今後も止まらないだろう。無理なことを求めて、エネルギーを使うのは「しんどい」だけだし、地域の中でもっともっとエネルギーを使うべきことが他にたくさんある

もちろん、建物として十分に活用できるものは、他の用途で再活用した方が、経済的にも環境的にも優れていることだろう。しかし、そうした取組は大切だが、人口が減少する中で全ての建物を活用できるわけではない。そのことはしっかり頭に入れた方がいい。

老朽化した建物の中には改装するよりも、建て替える・新しい場所に建てた方がはるかに楽で、経済的なことも少なくない。そうしたときには、無理に空き店舗を再活用する必要はないのではないだろうか。

空き店舗が増えることで、
車やネットもうまく使えない高齢者等が買い物をできず困るというならば、
・移動販売
・貨客混載
・宅配サービスの充実
・ネット版御用聞き
などの方法で対応したらいいし、

身近に人が集まる場所がなくなって困るというならば、
店舗という形ではなくて集まる場所をつくるのも一つの方法だろう。

しかし、「空き店舗があること自体が問題だ」と捉えてしまうと、長い間解決できず苦しむことになる。

住居と併用している店舗を閉じた後、住居として活用すればそれはそれでいいのだが、使わない建物はすぐに朽ちてしまう。景観上・防犯上・防災上・衛生上等の問題となることも少なくない。適切な管理がなされていないものは、空き家対策特別措置法等に基づき、最終的には物理的にも壊すことになるが、気持ちの上でも、解決できない空き店舗は、早く壊してしまった方がいいと思う。

「開かぬなら壊してしまえ空き店舗」

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(提言)危険な建物を除去するために、廃屋税を課そう。
     購入時に撤去費用の積立を義務付けよう。
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(とある別荘地の空き家)


<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年2月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。