慰安婦デマを世界に広めた主犯は朝日新聞である

池田 信夫

外務省が国連女性差別撤廃委員会で「朝日新聞の慰安婦報道が国際社会に大きな誤解を与えた」などと発言したことに対して、朝日新聞社は外務省に対し、「根拠を示さない発言」だとして文書で抗議した。

この根拠として朝日があげているのは、自社の第三者委員会の報告書の中の林香里委員の「統計的調査」による結論だが、彼女は「吉見義明教授の裁判闘争を支持し、「慰安婦」問題の根本的解決を求める研究者の声明」の賛同人であり、そもそも「第三者」ではない。その調査内容にも疑問がある。


図のように付属資料では、海外メディアの慰安婦報道についての情報源としては、NHKと朝日が群を抜いて多い。NHKが多いのは世界18ヶ国語の無料放送をやっているためと思われ、日本語と英語(読者はNHKよりはるかに少ない)しかない朝日新聞の引用頻度は、新聞の中では圧倒的に多い。

ところが林氏は「この国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」という(上の図も報告書には出ていない)。

この奇妙な報告については、中西輝政氏を委員長とする独立調査委員会の報告書で、島田洋一氏が「調査結果は朝日の影響が大きいことを示しているのに、林氏は朝日に同情的な海外の有識者のコメントを根拠に『朝日の影響は大きくなかった』と強引に結論した」と批判している。

初期に誤報を出したのは朝日だけではないが、彼らが2000年代まで執拗に誤報を繰り返したことが、海外メディアに影響を与えたことは、第三者委員会の調査でも明らかだ。彼らがこのように責任を回避していることが、日韓の「歴史問題」の解決をさまたげ、海外の誤解を解く障害になっている。

朝日はもう開き直るのはやめ、「吉田清治の嘘を根拠とした過去の慰安婦報道は全面的に誤りだった」という謝罪広告を世界の主要紙に出すべきだ。外務省も、こんなナンセンスな抗議には反論し、日本政府として誤解を徹底的に訂正する必要がある。