東京日帰り弾丸ツアー敢行!バリアフリーって何? --- 恩田 聖敬


一昨日の月曜日、人にお会いするために東京日帰り弾丸ツアーを敢行しました。
お会いしてお話したことは、改めて書きますが、今回は道中色々思った事を書いてみようと思います。

①新幹線
こんな身体になるまで全く知りませんでしたが、新幹線には車椅子が乗るために、三列シートの一席を取り除いたスペースがあります。また、介助者も一緒に入れる個室もあります。これらを利用するためには事前予約が必要です。いきなり行って乗ることは出来ません。

料金については、私のような状態の場合は、本人と介助者1名まで乗車券は半額になります。介助者無しでは身動きの取れない私にとってありがたいことです。しかし、何故か特急券は半額になりません。
私の介助者は、何処に行っても四六時中私に付き添い、観光はおろか食事も車内で済ませる有様です。岐阜から名古屋には2人で1人分の料金で行けるのに、東京まで足を伸ばそうとすると、在来線で行かない限りコストアップになります。不思議です。

②トイレ
私の現在の症状において、最大の懸念はトイレです。自宅のトイレなら、狭い空間なので介助者が壁を背にしたり、私を壁にもたれかけることで1人でも介助可能です。しかし、所謂障害者トイレは広いが故に壁を支えに使えず、安全の為には2人介助者が必要です。

今回はトイレのためにもう1人分新幹線代を出すのがしんどかったので、東京現地で時給制でお願い出来る看護師さんを呼びました。お互い不慣れで、お互い大変でした。

障害者用トイレという空間はかなりの場所で整備されました。しかし、私にとって介助者がいなければ用を成しません。例えば、ベビーシッターや保育士を常駐させている商業施設のように、看護師が常駐する施設があると嬉しいなと思います。
まだオムツにはなりたくありません(笑)

③駅のホーム
ホームを移動するときに、端を通りますが、どうしても車椅子の車輪が点字ブロックの上を通り、振動が結構嫌なものです。しかし、点字ブロックは視覚障害者には命綱です。
バリアフリーの設計は、様々な障害の症状に対応する「最大公約数」をとる難しい仕事だと思いました。

バリアフリーって何でしょう?ALSになり、ありがたい医療・福祉サービスを受ける一方、経済的バリアや時間的バリアを感じることも少なくありません。不可抗力で障害を持った人にとって、まだ色々なバリアがあると思います。

でも、私はめげずにこれからも遠出します!

恩田聖敬


恩田 聖敬(おんだ・さとし)
1978年(昭和53年)岐阜県生まれ。京都大学大学院卒業後、2004年複合レジャー施設「JJ CLUB 100」を運営するネクストジャパンに入社。2009年には取締役就任。その後グループ会社であるアドアーズの常務取締役として全国のゲームセンター店舗を回り、希望退職を実施し、大規模な改革を行う。親会社のJトラストでM&A等を担当した後、14年4月に岐阜フットボールクラブの代表取締役社長に就任。サービス業の経験と、会社管理の経験をフルに活かし、サッカービジネスにエンターテイメントの要素を導入も、社長就任と同時にALS(筋委縮性側索硬化症)を発症。病を公表後も社長業を続投したが、15年11月末の公式リーグ最終戦を以って病の進行により、止む無く社長を辞任。


この記事は、岐阜フットボールクラブ前社長、恩田聖敬氏のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年2月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。