CiPビジョン10か条、その1 --- 中村 伊知哉


竹芝にデジタル特区を作るCiP協議会。2016年2月、「CiPビジョン10か条」を策定・発表しました。10日に分けて、ココでも公表していきます。

イラストは、ピョコタン画伯です。

1.シリコンバレーとハリウッドの日本版融合

デジタル×コンテンツのクラスターを形成します。
50年前の東京オリンピックで、日本は復興と成長の姿を見せました。次に来るオリンピック・パラリンピックで、東京は、日本は、新しい姿を示したい。

産業界が培ってきた技術力、ものづくり力というハード面。みんなが培ってきたポップカルチャーなどソフト面。その総合力が日本の資源です。これを活かしたい。

閉塞感を打破したい。

デジタルは宇宙、バイオ、ナノと並ぶフロンティア領域。IT=情報技術とコンテンツ=表現は、日本が総合力を発揮できる分野です。

東京・竹芝をその集積地にします。技術、デザイン、産業、文化のクラスターを作ります。1.5haの都有地に、研究開発、人材育成、起業支援、ビジネスマッチングの機能を構築します。国内・海外の拠点とのハブにし、情報発信基地となります。

だからといって、目指すはハリウッドやシリコンバレーではありません。ハリウッドやシリコンバレーは、アーティスト、ギーク、そしてビジネスエリートの集積。これに対し、日本の強みは、高度な技術力・表現力に加え、正確で勤勉な大勢の職人の存在、さらに、コミケ、ニコ動、カラオケ、コスプレ、ゆるキャラ、B級グルメなど、みんなが参加して生産し、消費される猥雑で混沌とした産業文化力です。これを活かし、増殖炉となります。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2016年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。