不動産業界の「歪み」はイノベーションで解消 --- 内藤 忍

日帰りの出張で京都に行ってきました。契約と打ち合わせ、そして京都の祇園のフレンチ(写真)まで楽しんでトンボ帰りという濃密で充実したスケジュールでした。

不動産のマーケットは金融市場に比べて効率性が低く、「歪み」が存在しています。歪みとは、情報が完全に行きわたらず、知っている人と知らない人の情報格差が生まれている状況です。

例えば、金融市場の代表である為替は極めて効率的なマーケットです。世界中でほとんど同じレートで取引可能で、価格に関する情報格差がありません。東京で1ドル=112円なのに、ロンドンでは1ドル=100円といったことは無いのです。ところが不動産取引では、同じ物件が違う価格で販売されていたり、価格が不透明です。知恵のある人はその歪みから収益を上げることができるのです。

しかし、歪みというのは、それに気が付く人が増えて効率性が高まれば高まるほど消えていきます。金融市場でも以前は規制による歪みが存在しましたが、イノベーションを起こす人たちの価格破壊によって解消されていくことになりました。

例えば、証券会社の株式売買手数料が自由化された時にイノベーションを起こしたのがネット証券です。マネックス証券をはじめとする新規参入企業が株式売買手数料を10分の1以下に引き下げました。さらに、ノーロードインデックスファンドの普及に貢献し、ここ数年の投資信託の信託報酬引き下げ競争の起爆剤になったと思っています。

あるいは、ネット生命保険会社が従来の高コストの保険セールスを、シンプルでわかりやすくネットで紹介し、コストを下げることで人気を博しました。

さらに、今後はラップ口座で高いコストを支払っている資産運用アドバイス業界でも、証券業界や生命保険業界で起こってきたのと同じようなイノベーションの可能性が高まっています。

個人が取引する不動産マーケットでも、今後金融業界で起こったのと同じようなイノベーションが急激に進んでいく可能性があることに、京都に行って気が付きました。具体的な話はまだここには書けませんが、個人投資家にとって大きなメリットのあるサービスが提供される可能性があります。

不動産マーケットの効率化による「歪み」の解消で起こるイノベーションとは具体的にどんなことなのか。最新の情報は資産デザイン研究所メールでもご紹介したいと思います。

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※内藤忍、株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。