しかしALSの進行により、今の私の状態では、自宅でのシャワー浴が限界になりました。転倒しないように細心の注意をしながらなので、なかなかリラックスという訳にはいきません。
そんな状態を打破すべく、昨年末から、新たな福祉サービスを導入しました。その名も「訪問入浴」です。文字通り、お風呂やさんが自宅に来てくれるサービスです。
男性1人、女性2人(看護師含む)がチームを組んで浴槽も持参してくれます。自宅のお風呂場からホースでお湯を溜めます。その間に私は、体温や血圧のチェックを受け、その後服を脱がされます。
入浴剤も入れてくれます。ヒノキ、コラーゲン、お茶などいろいろありますが、最近は子供たちが勝手に決めてしまうので、私に選択肢はありません(笑)
その後、2人掛かりで抱えられ湯船に移動します。そこで、顔、頭、肩、背中、、、と順番に洗っていきます。洗うときには例えば、陰部は必ず男性スタッフが洗うなどの気づかいがあります。すべて洗い終えた後、追い炊きをしてくれます。組み立て式の湯船なのにそんなことできるのです。追い炊き後、充分温まって、また抱えられて出ます。
服を着せてもらい、もう一度血圧等のチェックをしておしまいです。約一時間のサービスですが、冬は特に重宝します。ありがとうございます。
子供たちは興味津々で、湯船の組み立てを手伝ったり、膝にお湯をかけたりして楽しんでます。子供たちと一緒に入れれば、一番嬉しいですけどね。
恩田聖敬
恩田 聖敬(おんだ・さとし)
1978年(昭和53年)岐阜県生まれ。京都大学大学院卒業後、2004年複合レジャー施設「JJ CLUB 100」を運営するネクストジャパンに入社。2009年には取締役就任。その後グループ会社であるアドアーズの常務取締役として全国のゲームセンター店舗を回り、希望退職を実施し、大規模な改革を行う。親会社のJトラストでM&A等を担当した後、14年4月に岐阜フットボールクラブの代表取締役社長に就任。サービス業の経験と、会社管理の経験をフルに活かし、サッカービジネスにエンターテイメントの要素を導入も、社長就任と同時にALS(筋委縮性側索硬化症)を発症。病を公表後も社長業を続投したが、15年11月末の公式リーグ最終戦を以って病の進行により、止む無く社長を辞任。
この記事は、岐阜フットボールクラブ前社長、恩田聖敬氏のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年3月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。