選挙制度改革「アダムズ方式」ってなに? --- 選挙ドットコム

最近よく聞く「アダムズ方式」

最近ニュースで「アダムズ方式」という言葉をよく聞きませんか?衆議院の選挙制度改革として言及され、与党の自民党も検討に入ったため話題になっています。

選挙に関するニュースでは「1票の格差」や「定数削減」という問題がしばしば取り上げられますが、その解決策としてアダムズ方式の導入が議論となっています。

アダムズ方式とは一言でいうと、「人口に応じて議席を配分する」方法

ちなみに「アダムズ方式」という名前は、この方法を考案したアメリカの第6代大統領ジョン・クィンシー・アダムズから来ています。アダムズ方式とは一言でいうと、「人口に応じて議席を配分する」方法です。具体的には、各選挙区の人口を「一定数」で割り、出た商に応じて議席数の振り分けを決めます。

例えば、

 人口300人の選挙区A

 人口200人の選挙区B

 人口100人の選挙区C

という3つの選挙区に対して6つの議席を配分するとします。各選挙区の人口を「一定数」で割るのですが、この数字を全体の議席数に合うよう調整することで振り分けを決めます。仮に「一定数」を【50】としましょう。

各選挙区を50で割ると、

 ◯Aが6議席(人口300人÷一定数50)

 ◯Bが4議席(人口200人÷一定数50)

 ◯Cが2議席(人口100人÷一定数50)

で全体では12議席(A 6議席+B 4議席+C 2議席)となり、全体の議席数6とは一致しません。

そこで、「一定数」を【100】とすると、

 ◯Aが3議席(人口300人÷一定数100)

 ◯Bが2議席(人口200人÷一定数100)

 ◯Cが1議席(人口100人÷一定数100)

となり、全体の議席数である6と一致します。
このように、人口を「一定数」で割り議席数を配分する方法をアダムズ方式と言います。

なぜ、今アダムズ方式なのか

アダムズ方式に対する、現在の議席配分の方法は「1人別枠方式」と呼ばれています。

これは、47都道府県に対して無条件に1議席ずつ割りあてるものです。国会議員は各都道府県の代表という立場だと考えられているため、「最低でも1議席ずつ割り当てるべきだ」という考えに基づくものです。そして、各都道府県の代表である47名の引いた残りの議席を、各都道府県の人口に応じて配分してきました。しかしながら、こうした議席配分では、各都道府県の人口の差が大きくなるに連れて、「1票の格差」が問題になるようになってしまいました。そこで、アダムズ方式が検討されるようになりました。

また、アダムズ方式のもう一つのメリットは「議員定数削減」です。

2015年の国勢調査に基づいて議席の振り分けを「1人別枠方式」を廃し、アダムズ方式で計算し直してみると、議員定数の「9増15減」が必要となります。人口の多い地域では議席が増え、人口の少ない地域では議席が減った結果、全体では議員定数が削減されることになります。この点では、人口に応じた適正な議席数を算出するアダムズ方式は非常に合理的であると考えられます。

アダムズ方式は導入されるのか?

安倍首相や自民党はアダムズ方式の導入を容認する一方、導入時期は平成32年の国勢調査での議論に基づき決定するとし、しばらく先送りする方針です。

これは、アダムズ方式では人口の少ない地域の議席減が進むため、地方に地盤を持つ自民党内部には慎重派も多く見られるからです。一方、同じ与党の公明党や野党の民主党は、1票の格差を「違憲状態」とした最高裁判決を重視し、アダムズ方式を直ちに導入するよう求めています。アダムズ方式の導入は各党が了承していますが、今後はアダムズ方式の導入時期が焦点となりそうです。

 

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参考)
自民、アダムズ方式ようやく了承 20年以降に「先送り」:日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS17H4M_X10C16A3PP8000/

アダムズ方式、地方手厚く…少人口県も一定議席:読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160320-OYT1T50016.html

増沢諒

1988年長野市出身。早稲田大学卒業後、ITベンチャーでの勤務を経て、現在、東工大大学院修士課程。研究テーマは「ネットと政治」。ネット選挙解禁を目指す活動「One Voice Campaign」をはじめとし、様々な啓蒙活動を展開。2014年マニフェスト大賞受賞。

Twitter : https://twitter.com/ryo_masuzawa

Webサイト : http://taberuseiji.com/


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2016年3月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。