バチカン、「プリンス急死」報じる

米国の伝説的ロック歌手プリンス(本名プリンス・ロジャーズ・ネルソン、1958~2016年)さんが21日、米ミネソタ州の自宅で死亡しているのが見つかった。 死因は明らかになっていないが、プリンスさんは先週から体調を壊し、自宅で療養していた。薬物の過剰摂取の情報も流れている。


▲57歳で急死したプリンスさん(プリンスさんの公式サイトから)

プリンスさんは1958年6月、ミネアポリス生まれ。早くから作曲を始め。ギターなど複数の楽器をこなす。82年に出したアルバム「1999」がヒットし、全米で400万枚を売り上げた。84年には「パープル・レイン」でアカデミー賞歌曲・編曲賞(当時)を受賞するなど、ロック歌手として地位を揺るぎなきものとした。

プリンスさんの急死はロック世界だけではなく、オバマ米大統領を含め世界各地で大きなショックをもって受け取られている。世界12億人の信者を抱えるローマ・カトリック教会の総本山、バチカン法王庁も例外ではない。バチカンはロック歌手の世界には余り関心がないだろうと思ってきたが、実際はそうではなかった。バチカン放送独語版は22日、「プリンスさんの急死はバチカンでも驚きをもって受け取られた」と急報しているのだ。

バチカン文化評議会議長のジャンフランコ・ラバージ枢機卿は22日朝、ツイッターでプリンスさんのソング‘Sometimes it snows in april’(1986年)のテキストの一部を紹介している。

Sometimes, sometimes I wish that life was never ending/All good things, they say, never last

バチカン放送のプリンスさん急死を報じた記事の概要を紹介する。

プリンスさんは生前はステレオタイプのロック歌手ではなく、多様性をもつ人間と受け取られてきた。 余り知られていないが、プリンスさんは宗教的な人間であり、「エホバの証人」の信者だった。同時に、ローマ法王に対しては大きな尊敬を払っていた。少々いかがわしいソングを作曲すると、次は宗教的なテーマのソングを歌うなど、自身でバランスを取ってきた。

57歳になるまで、プリンスさんは風変りで、予測できない人間と受け取られてきた。同時に、同性婚に対してははっきりと反対していた。プリンスさんは2度結婚し、2度離婚した。一人の息子が生まれたが、遺伝子の病気で出産後、亡くなっている。

2015年4月、警察官の暴力で殺害された黒人青年フレディ・グレイさん(当時25歳)の慰霊のためメリーランド州のボルチモアで無料コンサートを開催している。

なお、プリンスさんは3月、回想録を書くと宣言していたが、その約束は実現できずに終わった。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年4月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。