一昨日、経済産業委員会で一般質疑が行われました。
その際、ベンチャー政策と、三菱自動車の燃費不正に関連する質問を取り上げましたが、今日は後者について紹介させて頂きます。
最近、自動車を購入した方や、その検討をしたことがある方なら分かると思いますが、燃費は自動車選びをするにあたっての非常に大きなファクターです(自動車購入をサポートするサイトでも、JC08モードの燃費消費率が分かりやすく比較できるように工夫されています)。
一定基準を満たした車を購入する場合には「エコカー減税」を受けられますし、その値は国交省が審査して決めることになっていますので、極めて公共性の高い数値だといえます。
ところが、その実態は、国の施設で行う走行試験のデータに、メーカーが届け出た走行抵抗値というデータをかけあわせて算出するという、かなりいい加減なものでした。
今回の問題は、騙されてしまった消費者の保護、日産への補償、工場の生産停止によるサプライヤーへの影響だけでなく、エコカー減税の返金にまで及んでいますが、国交省は、これらを受けて、メーカーまかせの検査方法を見直す方針とのことです。
しかし、性能や品質が税金と結びついている製品は、「自動車以外」にも色々あります。他には問題がないのか、仕組みをチェックする必要があると私は考えました。
例えば、平成28年度経済産業省予算で515億円が計上されている、「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」ですが、これは、設備・システムの置き換えにより、省エネ化を行う際に必要となる費用を補助するものです。
その条件としては、「トップランナー制度」対象機器を導入する場合、当該基準を満たす製品(最も進んでいる機器)でなければならないとされています。
そのため、この補助金について、トップランナー基準をその製品が満たしているかどうか、経産省の方でしっかりと審査しているのかどうか質問しました。
それに対する答弁は、「していない」、「達成しているかどうかは各メーカー側が行っている」というものでした。
これでは三菱の燃費偽装と同じようなことが行われても、防ぐことができません。
そこで、仮に、トップランナー基準を満たしていないのに、満たしていると「偽装」された製品が導入され、それに対して補助金が支払われた場合、経済産業省としてはどのような対応を取るのかについても尋ねました。
資源エネルギー庁の説明では、個々の事業者から1年後に報告を求め、当初の計画値が満たされていない場合には、その内容に応じて支払い済みの補助金の返還を求める場合もありうるとのこと。
私の問いに対してなかなかストレートに応えて頂けず、非常に分かりにくいところもありましたが、要するに、導入する設備が本当に基準をクリアしているか補助金を出す前にはチェックしていないのです。
当たり前のことですが、性能・品質に関し不正がなされている製品の購入を促すような形で税金が使われるようなことがあってはなりません。省エネ化等の政策目標を達成することができないだけでなく、国民・消費者の信頼が害されることになりますし、ズルをしたものが得をすることにもなります。
そもそも、事業者を監督すべき立場にある国が、大手メーカーが出してきたデータを軽々に信じるべきではありません。根底にあるのは「性善説」なのかもしれませんが、このままでは経産省と大手企業の「癒着」を疑われても仕方が無いような状況です。
そろそろ日本は「大手は正しい」という概念を捨て去らないと、最近立て続けに起こっている三菱、東芝、旭化成、東洋ゴムのような問題が歯止めなく続いてしまうでしょう。
不正が可能な仕組みを続けていては、国内の問題に留まらず、いずれは世界でも信用を失うことになりかねません。そうなると、Made in Japanという日本ブランド全体が毀損されてしまい、取り返しのつかないダメージを受けることになります。
性能・品質についての審査方法の見直し(特に税金が関係するもの)は、三菱自動車の燃費不正を機に全省庁が取り組むべきことです。国交省以外も、早急に現状確認を行い、少しでも問題があればその解決に努める必要があります。
*性能・品質によって減税措置を認める、補助金を出すといった政策のうち、経産省所管のものは現在いくつあるのか、そのうち政府がしっかりと審査しているものはどれくらいなのか、資料要求をしました。中身をチェックし、引き続き問題提起していきます。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年4月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。
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