東大は四谷学院と提携すれば、世界ベスト10になれる

日本経済新聞の報道によれば、イギリスの教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが発表した「世界大学評判ランキング(University Reputation Ranking)」で、東京大学がアジア最高位の12位になったそうです(表も同紙から)。

ベスト10は米英の大学に独占されてしまっていますが、日本の大学がこれらの大学と競争していくには、どうしたら良いでしょうか。目指すべきかどうかの議論は別として、世界大学評判ランキングで東大がベスト10に入る方法には、どんな戦略が考えられるでしょうか。

言論プラットフォームアゴラでNick Sakai氏は「東大は通信教育制にしないと破綻する」と書いています。私は、評判ランキングを上げる手っ取り早い方法は、「何で私が東大に?」のキャッチコピーで知られる四谷学院のような予備校と提携するのが良いと考えます(四谷学院は一例で、もっと良い予備校があるかもしれません)。

この評判ランキングの計算方法を調べてみると、リサーチとティーチングを2対1の比率ウエイト付けしているそうです。東大が47位になっている「世界大学ランキング」のようなグローバルなリサーチ能力だけでなく、教育環境としての大学の評判も重視されている。そこが狙い目です。

最新の日本の大学事情はわかりませんが、かつて日本の大学とアメリカの大学(大学院)で学んだ経験で感じたのは、教育サービス業としての意識の違いです。

留学していた米国の大学院では、教師は授業の始まる前に教室に来て、時間ピッタリに始める。授業が時間内に終わらないと「延長して申し訳ない」と謝る。オフィスアワーという質問の時間が設けられ、その時間に行くと教師が対応してくれる。そして、学期末になると生徒がどの講座が良かったか点数をつけて、評価の高い教師は「最優秀講師」として生徒が表彰する。そんな、仕組みがあったと記憶しています。

リサーチで評価を上げるのは時間がかかります。それよりも、ティーチングの環境の良さをアピールした方がランキングを上げやすいのではないか。であれば、日本の最高の教育サービスである予備校のノウハウを導入するのが一番ではないでしょうか。

リサーチに優れているからと言って、教えるのが上手いとは言えません。むしろ、研究成果を上げている人は、教えるのが苦手なケースも多いのです。だとしたら、教えるノウハウは、その道のプロである予備校にアウトソースする。

私は文系の学生でしたが、マクロ経済学やマーケティングといった基本科目のテキストを、大学教授ではなく予備校の先生が作ったら、もっと深く理解できたかもしれないと思っています。

四谷学院のWebを見ると、55段階個別指導、オリジナル教材、自習室、ほっとルームなど、生徒という顧客目線での徹底したサービスが施されていることがわかります。ここまで大学で徹底してやれば、ティーチングの評価は世界一になることも夢ではありません。リサーチの評価アップに時間がかかっても、総合ベスト10入りは充分可能になるはずです。

予備校が東大にノウハウ提供。冗談で書いていると思うかもしれませんが、結構本気です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年5月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。