東京の8月は温暖で理想的⁉︎五輪立候補ファイルより

加藤 完司

東京五輪開催決定に係わる裏金疑惑、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は東京五輪の招致委理事長でもあった。東京五輪の立候補ファイルを作製、提出したのが同委員会(と東京都)であったことを思いだすが、同ファイルには東京の気候について、「晴れる日が多く温暖でアスリート に最適な気候」と説明していた。

2020年の東京オリンピックは、7月24日から8月9日。梅雨が明けて猛暑の始まる次期、歳時記には、大暑、極暑、酷暑、炎暑、炎日、炎熱、など、いかにも暑苦しい文字が並んでいる。これが普通の感覚だろう。ところが、「特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会及び東京都」が提出した東京五輪立候補ファイルの13ページ=画像参照=にはこう書いてある。

「この時期の天候は晴れる日が多く、且つ温暖であるため、アスリート が最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である。」

IOCから開催期間は7月15日から8月31日の間の16日間、と開催条件が指定されているので、この時期の開催が避けられないのはわかる。しかし、東京都は消防庁経由で熱中症注意のお知らせを流しているぐらいなのに、この期間を世界に向かって「温暖」と言い切っている。とても自分には書けないし、ものの言いかたはいくらでもあるだろうに、とむしろ感動さえ覚えた。他の立候補地から「東京の気候は捏造」と訴えられても仕方ないと思うが、案外オリンピック精神の神髄とはこういうものなのかもしれない。