情報収集の際には「コピペの罠」に気をつけろ

※画像はWikipediaより引用-ディズレーリ(1878年)

イギリスの政治家である、ベンジャミン・ディズレーリ(Benjamin Disraeli)は、2期にわたってイギリスの首相を務めたことで知られている。ヴィクトリア朝を代表する政治家だが次のような名言を残している。「一般に、人生で最大の成功をおさめる人間は、最高の情報を得ているものだ。」

情報の重要性とは最近になってからのものではない。しかし、WEBが主要な情報源になっているいま、情報収集の精度はさらに重視されている。今回は、リサーチ会社を経営する、方喰正彰(以下、方喰)にWEBで情報を収集する際の留意ポイントを聞いてみた。

●ネットに蔓延するコピペの罠

WEBが主要な情報源になってから。あちこちで「コピペ」があふれている。個人ブログかやSNS、掲示板、ときにはニュースサイトにまでその範囲は及んでいる。それらのすべてが有害だとは言わないが、コピペを鵜呑みにすることは非常に危険でもある。

方喰はコピペのリスクを次のように述べている。「コピペには罠があります。まずはコピペが引用元の情報から変化している可能性。単なるミスで一部の文字が抜けることもあれば、悪質な場合は意図的に言葉を改変される危険性もあります。また、発言の一部を切り取って発言主が本来言いたかったこととは違うようにも見せることもできます。」

昨今の、学生コピペレポートの問題をみれば明らかだろう。大学側がコピペチェック専用ソフトを導入して防止を試みているが未だ効果は限定的である。また、日本経済新聞(2008年7月11日)では、対象が小学生にまで及んでいる記事を見つけることができる。

参考までに、「自由に使える読書感想文」というサイトでは、「センセイが書き方を教えてくれない読書感想文なんて、さっさと片付けて、夏休みをエンジョイしよう!!~」という紹介文が記載されている。このサイトは、小学生や夏休みの宿題を手伝う保護者に人気があるそうだ。本を読み、読書感想文を書くことで知的想像力を鍛えることができるが、いまや読書感想文は形骸化しているのかも知れない。

方喰は、あやしい情報だと思ったら、面倒がらずに引用元や元ソースの情報を確認すべきとも述べている。さらに、「古い情報でも、コピペされることで、まるで最新の情報のように見せることもできます。変化の早い世の中です。数年前に存在したものがいつの間にかなくなっていることは珍しくありません。調べる際には情報の鮮度についても確認したほうが良いでしょう」と情報源精査の視点を持つことが重要としている。

●本日のまとめ

学術論文などは過去の先行研究をおこなうのが一般的である。そして論文を書く際には、他者の意見や考察であることを明記し引用をおこなう。引用と明記すればまったく同じ文章であってもコピペではない。このような書き方のルールについても早い段階から関心を持つべきなのかも知れない。

最後に、方喰のメッセージを引用し結びとしたい。「あなたが直接その目で見たり、自分で経験したりして得た情報以外は、誰がどんな加工をしているかわかりません。すべてのコピペが悪いとは言いませんが、元の情報がコピペで重ねられていたら不純物まじりになってしまいます。コピペの罠に気をつけてください。」

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尾藤克之
コラムニスト

追伸

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