未来を見据え、任期中すべての予算増額議案に反対

伊藤 陽平

本日は、第二回定例会最終日でした。

今回もいくつか議案に反対しました。
反対は、38名中私のみで、反対議案数が最も多い議員になってしまい、ネタ扱いされそうなのが悩ましいところですが、引き続き問題提起のつもりで頑張っていきたいと思います。

過去のブログはこちら↓
賛成(≒スルー)ではなく、議案に対してかなり厳しめの対応を取らせていただくことを決めました

まず、新宿区議会議員、新宿区長選挙の公費負担増額に関する条例に反対しました。

選挙の時に掲示されるポスターは税金で賄われていますが、印刷業者は候補者が選定することになります。
消費税増税の影響で、ポスターなどの公費負担が510円48銭から525円6銭まで限度額が増額されました。

しかし、平成27年度の新宿区議会議員選挙では、一人当たりの平均が約384円でした。
私も370円だったので、公費負担の限度額は明らかに必要ありません。

選挙応援のインセンティブとして、公費負担ギリギリまでのプランを提示したり、表向きはポスター代としていてもハガキやタスキ、のぼりなど本来は公費負担外のグッズが会社側の負担としてセットになっているプランが、新宿区内にある一部の印刷会社から提供されています。
上限額が高いと腐敗が発生しやすい環境を生み出すと言えます。

また、ビラに関しては、1枚7円30銭から7円51銭に増額となります。
TVCMなどでA4フルカラー1.1円などの宣伝もよく見かけるようになりましたが、消費税の増額以上に印刷コストは日々低下しているという背景もあります。

庶民感覚で考えれば、増額する理由も特にないと思いましたが、私だけでしょうか。
残念ながら反対は私一人という結果になりました。

また、補正予算として保育所、そして昨日のシェアサイクルなどが含まれた議案がありましたが、これも一人で反対しました。
議会では、文教子ども家庭委員会に所属している立場から、子ども家庭費に関する反対の意見を述べました。

まず、保育所に関する予算が5億7000万円計上されていました。
0歳児保育の一人あたりの公費投入額は、公立であれば約500万円にもなりますが、サービスを受けられる人とそうでない人の間に大きな格差が生まれているのが現状です。

繰り返しになりますが、すべての子育て世帯を大切にし、多様な子育てを認め支援していく必要があります。
議員になってすぐ提言した子育てバウチャーの研究さえまだ進んでおりませんが、これでは多様化するライフスタイルに対応することはできません。

また、これだけのお金を負担するのは、役人でもなければ、名前も顔も知らない大金持ちでもありません。
他人事にするのではなく、私たち区民がコストと向かうべきです。

保育サービス利用者の納税額が、サービスにかかるコスト以上であれば望ましいですが、そうした状況はほとんどありません。
例えば年収が300万円未満の方の場合、多額の公費を投じて子育て支援をすることになり、採算性の観点から見直しが必要であることは明らかです。

数字を見れば明らかに破たんした制度だと思いますが、段階的に支援の方法を切り替えるべきだと考えています。

政治の世界では常に緊急の案件があります。
しかし、今が良ければ問題ないという政治が続くことで、失われるものもたくさんあります。

例えば、若い世代の結婚できない理由として、最もよくあげられる理由の一つが、経済的な理由です。
しかし、行政の事業を支えるための税負担等がなければ、この問題の解決にも一歩近づくことになります。

基本的には、行政に事業を行わせることは、平均700万円の職員人件費やお友達の事業者に中抜きされ、しがらみの強い順に国民の財布からお金がばらまかれるわけで、仕組み上多くの有権者が確実に不利益を被ります。

過去のブログはこちら↓
区政への要望は何ですかと聞かれて、「お金をが欲しい」と答えてはダメですか??

民間からお金を徴収し、公費を増大させることで社会的課題を解決する時代は終わりにしなければいけません。

現与党は予算を増大させ社会的課題を解決しようとする権力的な政策を打ち出しています。
国民負担率(対国民所得比)の推移から、平均的な日本人が税を払うために元旦から何月何日まで働かなければならないかを示した 「納税者の日」は平成28年度は6月10日、子どもにツケをまわさず先送りされた税負担を年度内に払う「子供の日」は7月4日となっています。

つまり、1年のうち半分は政府を支えるために仕事をしていると言えますが、これで自由な国だと言えるのでしょうか。
また、これだけ税負担をしていても、果たして福祉が充実していると感じている人がどれだけいるのかは、考えなければいけません。

舛添都知事問題では、庶民感覚についての議論が行われていましたが、すべての政治家に対して同じ議論をすべきです。

選挙も近いですが、子どもたちの財布にまで依存した状態で、何に使おうかだけを議論して、
「私は~を実現しました!」
と、国民の負担を増大させるという罪を重ねながらも、あたかも自分の手柄が増えたかのように演説で叫び散らすような政治家であれば、庶民感覚などあるはずがありません。

そして、本来は与党に対抗し、国民の財布を守るべき野党に関しても、国民の財布を活用して社会的課題を解決しようとしていることから、ほとんど政策に違いはない状態だと言えます。

こうした従来までの行政運営モデルを、選挙においても一切の意思表示をしていない将来世代に引き継いでしまうことは、避けなければなりません。

今以上に政府の権力が拡大し、大きな不利益を被らないよう今から対策が必要です。

委員会も含めると同じ話は数えきれないくらいしてきました。
しかし、人間何回も言わないと、覚えてもらえないと思っています。

「子どもたちのために予算を減らすって何言ってるんだ?逆じゃないの?」
「そんなことしたら自分たちの仕事なくなるじゃん!」
と思われることもありますが、少しずつ共感してくださる方も増えていくのではないかと感じています。

単なる野党一人議員として活動しても中々成果を出すことは難しいですが、唯一の強みは、本当に必要だと思ったことであれば、少し言いづらい話であっても自分から議論をはじめられることです。

時間はかかるかもしれませんが、今の政治のやり方は、将来世代のためにならないと断言します。

私は、将来世代の声を代弁することを忘れず、地道に訴え続けていきたいと思います。
本会議や委員会で少しのお時間をいただくことになりますが、一石を投じるために予算増額に関する議案は例外なく反対を表明し、その理由を述べ続けたいと思います。

それでは本日はこの辺で。