英語を簡単に話せるようになりたいと思ったら

写真は講演中の西澤

今年の2月に文科省は、全国の国公立の中学3年生と高校3年生を対象にした、英語の「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能に関する「2015年度の調査結果」を公表した(サマリーは旺文社を引用)。初めて調査した中3は「書く」以外で国が卒業時の目標に掲げる「英検3級程度」に届かない層が約7〜8割を占めたことが明らかになった。中~高時代の苦手意識が社会人になっても継続し苦手意識を助長しているともいわれている。

「国際化の流れの中で英語力の向上は必須です!」と答えるのは、ラジオのパーソナリティや英語教育の専門家として活躍している、西澤ロイ氏(以下、西澤)である。ベストセラー『頑張らない英文法』(あさ出版)の著者でもある。

●よくある誤った勉強法

――西澤のTOEIC最高スコアは(990点)の満点である。そして、英検はなんと4級である。西澤は英語を勉強しようと思った契機やエピソードについて次のように答えている。

西澤 大学は英語学科に進学したのですが、話せるようになりたくて必死に英語を勉強しました。本を読み漁り、英語漬けの環境を続けたことで大学卒業時にはTOEICのスコアは900点を超え、英語でのコミュニケーションには全く困らないレベルにまで達することができました。

多くの人は「英語は難しい」、そんなイメージを抱いているかも知れません。英語は「暗記科目」ではありません。あれこれと理屈をつけて覚えるようなものでもありません。人が生まれつき持っている「感覚」で理解できるものです。英語をあるがままに捉え、受け入れて、使ってください。私が伝えたい「頑張らない英語」とは、そのようなことです。

――西澤はこれらの問題は、英語の誤った勉強法にあるとしている。例えば、単語帳などを買ってきて覚えようとしても効率的ではないそうだ。単語の暗記をいくらしても、自分自身で納得感がなければ使いこなせないからである。さらに使う機会がなければ、覚えた単語もすぐに忘れてしまう。さらに最近流行りの学習スタイルにも異議を唱えている。

西澤 CDを聞き流すことで学習力が向上する方法があります。まずCDを聞き流してもダメです。聞き流すことによって、「英語に慣れる」程度の効果はあるでしょう。でも、もし聞き流すだけで英語がうまくなるなら、CDを聞いたり、テレビを見るだけでピアノやサッカーが上手になっているはずです。

また、「話せるようになりたい」と英会話スクールに通う人がいます。しかし、ネイティブな人と会話するだけではダメです。スポーツに例えるなら、英会話は本番の「試合」に当たります。その前にしっかりと「練習」をしない限り、本番では力が出せないでしょう。やみくもにスクールなどに通ってもあまり効果は出ません。

――それでは英会話を効率的に上達させるのは何が必要なのだろうか。西澤は「納得感」が重要であるとしている。

西澤 英語を「暗記科目」だと勘違いしている人が多いですがそれは間違っています。英語は、日本語とは大きく違いますから、「丸暗記」をしても、なかなか上達できません。脳科学的にも丸暗記は向いていないことが明らかになっています。また英語を勉強だと思っている人がいますがそれも間違いです。英語はコミュニケーション・ツールであり、使う機会を増やさない限り上達はしません。

●本日のまとめ

――現実的な問題として英語が上達することで得られるメリットは非常に多い。企業にとっても英語がデキル人材はニーズが高い。業種業態を問わず海外の情報を入手し易い立場にあるのでビジネスチャンスにも恵まれる可能性が大きい。今後、国際化の流れの中で英語の重要性はさらに高まってくることが予想される。

西澤 ビジネスに関わらず、様々な局面で活用できるところに英語の面白さがあります。例えば、日本語に翻訳された海外の小説もありますが、原書ではどのように記されているのか気になるものです。英語のリーディングが得意になれば、原作を楽しむこともできます。日本語訳の本は出版されるまで通常時間がかかりますが、原作で楽しめれば出版されるまで待つ必要もなくなりますね。

英語はコミュニケーション・ツールであり「納得感」を持つことで上達する。「頑張らない英語」の秘訣について覚えておきたい。

PS

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尾藤克之
コラムニスト