凡ミスで大勝利を逃した自民党と共産党の大失敗

参議院選挙の結果を総括すれば、自民党は流れは良かったが取りこぼしが多かった。公明党は自民党の協力が円滑に機能して大成功。おおさか維新も議席数としては成功。 

民進は流れは良くなかったが勝負強かった。共産党は大失敗。社民も大馬鹿。小沢一郎は隠れ小沢チュルドレンを巧みに当選させて大満足といったところだと思う。 

自民党は都知事選挙で小池百合子を候補者に決めて、全国の激戦区に彼女を投入すれば比例区も含めて3~5議席増やせたと思う。みすみす、大勝利の方程式をはずしたのみならず、イメージを悪くした。 

維新も小池氏に支持表明しておけば東京で田中康夫を当選させ、比例区ひとりくらい余計にとれたはずだ。また、維新は今回、「おおさか」を外さなかったことで、大阪で2議席とれたかもしれないが、比例区や東京などでは損した。今後は、はずすべきだ。 

共産党は自衛隊についての失言や共産党の危険性への執拗な警告がボディーブローで効いて浮動票を取れなかった。また、地方区での立候補取り下げで費用は節約になったが影が薄くなった。今後、共産党は中でかなりもめるだろうし、民進党に今回よりはややこしい条件をいってくるのでないか。 

民進党がまずまずだったのは、一義的には自民党の凡ミスのおかげだ。共産党の協力を受けても共産党の候補でなければ別にいいのでないかと思われたこともあるが(本当はそんな甘くないと思うが)、それ以上に、全野党共闘ということで良質の候補を確保できたことが大きい。出馬する側からすると安心感があるのだ。

自民党は、地方区の候補の質が悪かった。参議院の地方区は、全県なので衆議院議員の選挙より人手も資金も必要だ。そこで、組織を動員できる地方政界のボス的な人が多くなるのだが、彼らには浮動票はとれない。それが今回の一人区での僅差の敗因が多かった理由だ。 

思うに、参議院議員は任期も長いし定数も小さいから、ひとりひとりの重みはかえって衆議院議員より重いのである。自民党は良い人材も資金も参議院地方区にもっとつぎ込まないとダメだし、日常活動も地元でさせるべきだし、閣僚なども参議院枠を増やした方が良い。 

社民党は共産党を批判し違いを強調してこそ生き残れるのに、それをしなかった。私が社民党の党首なら、「共産党とは同じ左翼政党として、似たところもあるが、社民党はあくまでも欧米的な民主主義を信奉している。憲法にしても、共産党は自分たちが政権を取ったら改正するつもりだが、社民党は変える気がない」といっただろう。そうでもいわないと、存在価値がないのに、馬鹿なことをしたものだ。 

改憲に必要な三分の二を確保したかどうかは、意味がない。そもそも、公明党は第九条を変えるべきだなどといってない。逆に民進党には憲法改正のためなら一本釣りで鞍替えしそうな議員はいっぱいいるではないか。