投票率UPなら、市町村分割だ

投票率の低下が懸念されています。

2016参院選:各党、投票率低下を懸念 街頭演説盛り上がらず – 毎日新聞
http://mainichi.jp/senkyo/articles/20160705/ddm/005/010/044000c

「各党、懸念」という見出しになっていますが、「投票日には寝ていてくれればいい」という元総理の言葉が示すように、組織票が強いところほど、投票率の低下は懸念するものでなく、ありがたいものであります。

組織票が強い候補者が議員になるということは、応援してくれた組織のために活動する議員が増えるということです、あなたのためでなく。

寝ているくらいならば、鉛筆転がしでもいいので投票行きましょう。 行ってください、お願いします。

例えば、100人が投票して、20人の議員が選ばれる場合、「関係ないじゃん」って、60人が投票いかなかったらこうなる。

(略)もし、今、投票に行かなった60人が、鉛筆転がして投票するとどうなるか。 鉛筆を転がした結果、60人の半分の30人がA党に、残り30人がB党に投票したとすると、

 – 投票先なんて、鉛筆転がせばいいんだよ。 – 愛知豊橋・長坂なおと のblog
http://nagasakanaoto.blog.jp/141209.html

さて、日本の選挙でも異様に投票率が高い選挙がいくつかあります。 例えば、離島の選挙、特に、町長・村長選など。

その様子は、小説化されるほど。

奥田 英朗
文藝春秋
2009-03-10


「精神科医・伊良部シリーズ」と呼ばれる短編集で、「Dr.伊良部一郎」というタイトルでドラマ化もされました。

離島だけでなく、小さな自治体は投票率が高いということを、経験的に知っている方も多いと思います。 ぼくもずっと気になっており、一度確かめてみたいと思っていました。

そこで私、日本全国の自治体の投票率を調べました。 その数1,596市区町村。

先にいくつかグチを言いたい。

総務省は、都道府県別だけでなく、市区町村別の投票率もまとめて公開してほしい。 そのため、こちらから47都道府県すべての選挙管理委員会サイトを訪問しました。

都道府県選挙管理委員会ホームページ一覧|総務省
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/links/senkan/index.html 

そして、各都道府県は、データをエクセルで出してほしい。

中には紙をスキャンしたPDFなどが掲載されており、電子的に読み取りが不可能なため、そこはあきらめました。 具体的に言えば、京都、大阪、鳥取、広島の4府県です。

先の1,596市町村には、この4府県のデータは含まれていません、ご了承ください。 それでも、1,596あれば統計的に十分でしょう。

というわけで、少し長くなってしまいましたが、まとめた結果をドン。

青い点ひとつがひとつの自治体(市区町村)を示しています。

こちらの数字は、前回平成25年の参議院選挙・全国比例の数字です。
縦軸の%が投票率で、横軸は市区町村ごとの有権者数(人口ではない)。

一番右の飛び抜けた300万人近いのが横浜市、そこから左に名古屋市、札幌市、神戸市、福岡市、川崎市・・・という具合です。 (前述のように、大阪市や京都市は含まれていません)

これでは少し見にくいので、横軸の有権者数を100万人までにして、横に引き伸ばしたのがこちら。

続いて50万人まで

10万人まで

10万人以上では300万人まで、ほとんど有権者数と投票率とに関係なさそうですが、10万人を下回るくらいから投票率が高くなり、有権者が少なくなるに連れて、その傾向がどんどん顕著になること、わかりますでしょうか?

有権者人口別に、投票率の平均値を出したのがこちら。

左側の「100万人以上(7)」「100万-50万人(13)」など、カッコ内の数字は、含まれる市区町村数です。

こんな矢印のような傾向が見てとれませんか?

今回の数字は、全て同じ選挙、参議院選挙・全国比例の投票率データを使っているため、有権者が300万人近い横浜市在住でも、有権者288人の新潟県粟島浦村(投票率92.7%!!!)でも、1票の価値は全く同じです。

しかし、人口が少ない町村では、当然、地方選挙などでの1票の価値・効果はものすごく高まります。 「私の1票が、村長を決める」というのが、本当にあり得るわけです。

現在、日本の市町村数は1,718。 終戦直後の昭和20年には、10,520の市町村がありました。
明治にはなんと、71,314市町村です(明治の日本は、普通選挙でなかったですが)。

 – 市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴|総務省
http://www.soumu.go.jp/gapei/gapei2.html

たぶんこのとき、よくもわるくも、選挙・政治はもっと身近な存在だった。

今さら、時代に逆行することを勧めませんが、市区町村という単位にこだわらなくても、もっと政治や行政、まちづくりを身近に感じてもらうには、どうすればよいか。 少なくとも、もっと小さな単位で、ものごとを考える必要はある。

それはきっとこの仕事をしているぼくらの永遠の課題で、すぐにどうしたらいいのかはわかりませんが、ぼくは今日も淡々と情報発信を続けます。

では!


愛知豊橋・長坂なおと のblog より

プロフィール
長坂尚登|1983年愛知県豊橋市生まれ。
地元の時習館高校卒業後、東京大進学、コンサルティング会社で働き、10年間東京で過ごす。2012年にUターンし、商店街マネージャーとして、豊橋のまちなかを奔走。2013年から内閣官房より地域活性化伝道師を拝命。
2015年商店街マネージャーを退職し、豊橋市議に立候補。新人トップ当選で、現職(無所属)フェイスブックページ