東京の新しいラグジュアリ-ホテルは「リッツカールトン」に勝てるのか?

日本経済新聞が東京でこれから開業する高級ホテルについて記事を掲載しています(図も同紙から)。訪日の外国人旅行客は過去最大を記録しているので、その需要を狙い、また2020年の東京オリンピックを迎え一層の利用拡大を見込んでの動きです。

参入するホテルの特徴は「高価格・高品質」を目指していることです。

赤坂見附に開業する「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」は、正規料金で最も安い部屋が6万円からになっています。星野リゾートが大手町にオープンする「星のや東京」は1泊7万8000円で食事は別と、かなり強気です。とは言え、このような価格は正規料金ですから、それに見合った価値を提供できなければ、いずれ宿泊客が減って値崩れし、宿泊サイトで安売りをせざるをえなくなります。

仕事柄、新しいホテルが出来ると宿泊してみたり、ラウンジで食事をしたり、物珍しさで利用することも多いのですが、大きな吹き抜けや洗練されたスタイリッシュなインテリアなど、インフラは素晴らしいホテルがたくさんあります。しかし、従業員のサービスなど、ソフト面を見ると、未だにリッツカールトンのような、東京では老舗のラグジュアリーホテルの方が、優れていると感じることが多いのも現実です。

スタッフと馴染みが無いからなのかもしれませんが、いつも使っているホテルの方がサービスに安定感があって、かゆいところに手が届く「おもてなし」があります。いくつかのホテルを利用した個人的感想としては、開業したばかりのホテルは、マニュアル的なサービスというか、こなれた感じがしない物足りなさを感じることが多いのです。

だから、新しいホテルが新規参入しても、既存のホテルにとっては必ずしも大きな脅威にならないと思っています。常連客というのは、目新しさから行くことはあっても、現状のサービスに満足していれば、新しいホテルに敢えて完全に切り替えようとは思わないからです。

また、宿泊するホテルの部屋で重要なのは、快適な睡眠がとれるベッド、気持ち良く浴びることができるシャワーやタオルなどのアメニティ、チェックイン・チェックアウトのスムースな対応といった極めて基本的なサービスのクオリティです。ハードとソフトのバランスが無いと達成できない簡単なようで難しいサービスです。

いずれにしても、新しいホテルが競争を誘発して、東京のホテルのクオリティがアップし、選択肢が増えることは、利用者としてはありがたいことです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年7月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。