水素をめぐり政治家として政策提言を積極的に行っている福田峰之衆議院議員(神奈川8区・横浜市(青葉区、緑区)、自民党)の見解を紹介する。
かつては重要な政策課題や産業支援には政治の支援があった。昭和30年代の原子力の推進では中曽根康弘元首相、正力松太郎初代科学技術庁長官などが後押しした。ところが、今はそうした例が少なくなっている。業界や利権との癒着を批判する厳しい世論があるためだろうが、それによって重要な課題の社会的な支援が継続されない問題も出ている。
要はバランスだ。福田氏のような政策通の政治家を含め、多くの支えがあり、注目を集める水素エネルギーは、幸運な例だろう。その成長を期待したい。
なお、このインタビューは専門誌エネルギーフォーラム5月号の原稿に掲載され5月に行われた。転載を認めていただいた関係者に感謝を申し上げる。(GEPR版)
(以下、福田議員インタビュー)
問題を「語り続ける」必要性
私は自民党議員連盟「FCVを中心とした水素社会実現を促進する研究会」の事務局長として、会長である小池百合子衆議院議員(編注・当時)や仲間と共に、水素社会の実現を政治の立場から支えようとしている。水素の活用による国民の幸福を確信している。
どんな政策でも誰かが語り続けなければ、その政策は形になっていかない。私は水素について「語り続ける」ことを、自らの政治課題の一つにしている。
安倍晋三首相が3月の福島視察で「福島を水素社会先駆けの地に」と表明したことで、水素エネルギーへの関心が一段と高まったのは喜ばしい。安倍首相の指示と支援の下で、着々と前に進んでいる。13年、14年に政府・経産省が自民党と協力して取りまとめた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」、また「水素社会を実現するための政策提言」が着実に実行されている。2020年の東京オリンピックまでに、水素インフラを整え、そこから日本社会がさまざまメリットを享受できるようにすることが、政府・自民党の目標だ。
目標として2020年代半ばには、FCVでハイブリッド車並みの価格を実現し、また家庭に置ける燃料電池を開発し、発電に活用するなど、水素が国の支援がなくても経済で活用され、その関連製品が商品化されることを目指している。FCVではトヨタ自動車、ホンダ、また燃料電池ではJXグループなど、開発力のある立派な会社が、商品化を行い、開発努力を重ねており、大変心強くありがたく思う。そして、目標は十分に実現が可能だ。
政治が水素振興でできること
今の政治の課題は、毎年の予算措置、制度設計で、政府・経産省・資源エネルギー庁と協力しながら支援を続けることだ。さらにやらなければならないのは、国際的な連携、規格づくりであると思う。市場を世界に求めることで、水素が大きなビジネスになるだろう。日本は製品化、インフラ整備でも他国に比べて進んでいるために、そうした規格作りで主導的な役割を果たせるはずだ。
育成中の新エネルギーの支援策の選択も、政治の現場で今後必要になると懸念する声がある。私は、それぞれの新エネで、用途に応じた棲み分けができると思う。対立するものではない。例えば、遠距離を動く車は水素自動車、近距離は家庭用水素燃料で発電した電池でEVが走るなどの使い分ける未来が考えられる。10年後には技術革新によって再エネ発電で使った電気を運ぶE水素、また産業用や発電用への水素の活用も、視野に入るだろう。エネルギーの効率的な多元化という日本の追求してきた目標が、水素の活用によってできると思う。
国民の皆さまにお願いしたいのは、こうした動きにビジネスとして、消費者として参加し、メリットを享受しながら、水素社会の実現を支えていただきたいと思う。これは日本が優位性のある分野であり、安倍政権の目指す「強い経済」を担う産業になりうる。私はそうした動きを政治の立場から支えていきたい。(談)
(構成・石井孝明 GEPR編集者)