都政決戦まであと2日!!~74年の都政史を踏まえ争点を考える(下)

上田 令子

都政の一大決戦である東京都知事選挙・都議会議員補欠選挙の投開票が、明後日=今月31日(日)に迫ってまいりました。
 有権者の審判が下され、過去最高の21名の立候補者による17日間のトップリーダーをめぐる争いに決着がつきます。

 各家庭に選挙公報が届いていますので、是非、ご確認ください。
 選挙公報は、東京都選挙管理委員会のホームページにおきましても、公開されております。
※東京都知事選挙特設ホームページ

 お姐は、元防衛相・元環境相の小池百合子候補を全力で応援しております。
1人で立候補表明をした小池さんでしたが、日に日に支援の輪が広がり、行く先々で実感となっております。
江戸川区に来られた際は、お姐も同行し、区民のみなさまに小池さんの「東京大改革」を訴えました。
小池百合子さんへの引き続きのご支持・ご支援をよろしくお願い申し上げます。

■2つの伏魔殿をつなぐ「空中歩廊」
 ところで、みなさまは東京都庁に行かれたことはありますか。
 西新宿にある東京都庁は、1990年12月に完工しました。特徴的なツインタワーの第一本庁舎(高さ243m,地上48階・地下3階)のほか、第二本庁舎、都議会議事堂の3つの建物からなり、それぞれは空中歩廊(渡り廊下)でつながり、行き来でするようになっています。
※都庁舎の全体像

 アクセスは新宿駅から徒歩で10分ほどですが、地下には都営地下鉄大江戸線の「都庁前駅」があります。都庁の地下なのに、なぜ「都庁前」かというと、都庁が丸の内(現在の東京国際フォーラム)にあった当時、都電の「都庁前停留所」を引き継いだものとされ、駅構内には都電時代の「都庁前」の看板が掲示されています。ここにも都庁を一家とみなし伝統を重んじる都庁官僚のプライドが感じられます。
 これに加え、都庁に行くだけの循環バスがあります。通勤時間帯はほぼ2分間隔で運行されていますが、日中はガラガラで空気を運んでいるような状態です。都営バスで「貸切気分」を味わってみたい方には、オススメです。
 さらに、青島幸男知事時代には新宿駅西口から都庁までの「動く歩道」が設置されました。
 このような至れり尽くせりの利便性は誰のためにあるのでしょうか?

 都庁舎の話に戻します。
 第一本庁舎、第二本庁舎には、都の主な事務部門があり、約1万2千人の職員が働いています。
 その東側の都議会議事堂には、本会議を開く議場、委員会室、各会派の議員控室、議会局などがあります。お姐が所属するかがやけTokyoの控室は、ここの5階の一角にあります。
 第一本庁舎3階と都議会議事堂5階の間には、都庁通りを跨ぐ、空中歩廊が南北に2本あります。この空中歩廊は、長さが100m、路面からの高さが17.5mあります。空中歩廊を渡り切って、都議会議事堂に入ると、ジュータンが柔らかくになります。
 職員が都議会に用事があるときには、この空中歩廊を渡ってくるのです。

■都議は第一・第二本庁舎に入るべからず?
 お姐が初当選して、当惑したことがありました。
 第一本庁舎にある部署に確認したい資料があり、自分でその部署に取りに行ったことがあります。すると、対応してくれた職員が、
「内線をいただければお届けに上がります。」
と言われてしまいました。第一・第二本庁舎に足を運ぶたびに、他の部署からも同じようなことを言われるのです。
 また、第二本庁舎で開かれた東京都教育委員会を傍聴した時には、一般と同じく傍聴手続きをしたところ、
「都議の先生が傍聴されるのですか。」
と奇異の目で見られました。
 区議時代は、相談や問い合わせがあると、区役所の担当部署に行って担当の職員と話したものでした。
 都庁では議員対応は原則として課長職が対応する慣行があります。担当課長に内線を入れると、その課長が空中歩廊を渡って説明しに来てくれます。資料が足りなかったり、確認すべきことがあったりすると、空中歩廊を渡って部署に戻って、再びこちらに来ます。
 一般質問や文書質問、委員会質疑の調整のときにも、このようなやり取りが繰り返されます。お姐としては、いちいちお待ちしているのもいやなので、メイルでのやり取りにするようにお願いしておりますが、それでも一度は、
「“先生”にお目にかかりたい。」
と空中歩廊を渡って来るのです。ちなみにお姐は、「先生」の呼称は江戸川区議会議員時代より固辞しており「お姐かお姐さんか、上田さんか令子さんか上田議員で」とお願いしてます。殆ど「上田議員」ですが、稀に「お姐」と呼んでくれる職員がいて、こういう方は必ず出世するという都市伝説があります…。

 この空中歩廊。渡ってくるのに、片道1分かかるとして、課長職の給与を時給換算すると4000円とも言われてます。この往復がどのようなコストになるのか、職員の加重勤務にならないか、お姐は都議になって以来「もったいない!」と気にしているところです。
 このような都庁の構造、設計思想こそ、都庁の事務部門と都議会の関係性を物語っているように思えてなりません。議員から気楽に事務部門に足を運んだ方が、効率的ですし、職場の状況もよくわかるはずなのに、原則議員が行くことはご法度という不文律。
 誠に不思議な慣習であり、第一・第二本庁舎には議員に見せられないモノがあるの?と思わずにいられず、必要とあればお姐は、懲りずにちょいちょい本庁舎に行き、その都度ギョっとされる始末であります。
 都議会は昨今、伏魔殿などと言われますが、第一・第二本庁舎にも伏魔殿があるのではないか、と思うところです。
  小池さんが都知事に就任した暁には、その実態に斬り込んでいただけるものと、期待いたしております。

■「開発vs.福祉」では都庁はますます肥大化する!~都政74年の歴史から、都知事選の争点を考える
 都政決戦まであと4日!!74年の都政史を踏まえ争点を考える(上)
では、 多くの都政課題については、主要候補は、昨年3月に策定された「東京都長期ビジョン」
をベースに公約が練られていることを指摘しました。

長期ビジョンは前知事のもと、策定したものですが、知事のトップダウンによって策定されたというのより、政策企画局を中心とする都庁官僚が主導して、各局の事業・要望を積み上げてパッケージ化したものになっています。その点において、精密な計画になっている半面、都政全体のあり方は十分には述べられておりません。また、策定プロセスでの都民参加についても、多くの都民には知らされておらず、不十分であることも重ねて指摘しなければなりません。

自民・公明・こころ推薦の増田候補の支持構造を保守政界・官界・財界の「鉄のトライアングル」、野党統一の鳥越候補の支持構造を革新政党・官公労・左翼市民運動や民間労組の「裏のトライアングル」と指摘しました。(*連合東京は鳥越候補の支援を機関決定していませんが、鳥越候補の演説会場には連合の支援を受けた都議・市区議が取り巻いており、傘下の労組が設置した会場で個人演説会が開かれています。)
 両候補とも、既得権のトライアングルに支えられています。
 建設業界から労働組合までの得権者の要望要求要請を受けねばならず、知事自身のアイデアも出す能力もセンスもないわけですから、既都庁官僚が立案した長期ビジョンに依存するしかないのです。

 74年余りの都政を振り返ると、「鉄のトライアングル」と「裏のトライアングル」が時に対立し、時に妥協・談合しながら、都庁官僚制に支えられて、既得権を拡大・維持してきたと考えます。

道州制の推進論で知られる元都職員である佐々木信夫・中央大学教授は、歴代知事の都政運営を、経済重視、ハード重点と生活重視、ソフト重点で振れてきたと分析しています。
戦後、初代の安井誠一郎知事から8人の知事が誕生しました。最近の短命知事を除いて、俯瞰してみますと、経済・ハード政策重視の東知事、鈴木知事、石原知事、生活・ソフト政策重視の美濃部知事、青島知事と代わりばんこのように知事が代わると争点が大きく両極に振れてきました。両者のバランスは当然欠かせません。ハード重視に偏ればハコモノ政策が、ソフトも偏れば福祉バラ撒き政策が行き過ぎて、その都度都民は賢い選択をして知事を交代させてきたわけです。

 急速に進む少子高齢化、首都圏直下型地震対策・オリパラ・老朽化したインフラ補修など公共事業が今後拡大していく中で、お姐としては、今を生きる都民のためにハード・ソフト可能な限りコストを抑え最大限の効果を出す方向性を打ち出し、どちらにも偏らない新しい知事を期待するものです。
東京一極集中の問題も看過できぬところです。世界の主要都市人口が全人口に占める割合は、パリ、ロンドン、ニューヨーク、ベルリンが60年横ばいであるにもかかわらず、東京が突出して比率も高く、現在も上昇を続けています。グローバルなの競争原理の中で東京は成長を遂げていかねばなりませんが、東京都の地勢として、首都直下型地震・水害などの防災面での脆弱性も指摘されるところです。
今後の東京の中心地をマンハッタンのような高層都市としていくのか、東京都内の副都心に注力して、ある程度の分散をはかるのか、東京でなくていい統治機構の一部や産業を地方へ移すべきと考えるのか。

お姐は、開発についても福祉についても、肥大化する東京についての是非を問い、中長期的な視点から日本の東京ならではの行政機構や産業の選択と集中をした高層化は推進しつつ、副都心や地方都市が個性を持ち東京から分散し産業と人口を集積できるようにしていくことが、東京と地方、そして、日本が持続的に繁栄していく道であると考えます。すなわち地方と東京は切り離して考えられません。

1964年東京オリンピックに象徴されるように高度成長期の機運に乗ってハード重視の開発路線は都市インフラを整えましたが、バブル崩壊後成長に急ブレーキがかかったにも変わらず、公共事業自体が目的化し、「鉄のトライアングル」の利権の構造になっています。

 つまり、成長がなくなり利権のみが残ったという最悪の事態が小池百合子さんが指摘する「都議会のドン」とそれを支える都庁官僚により長期にわたって続いてきたのであります。

一方で、ソフト重視の福祉路線は、都民の生活水準を向上・安定させてきましたが、人件費や各種補助金などの固定費を増大させています。これが「裏のトライアングル」の温床になっているのです。このトライアングルの被害者は福祉を必要とする当事者や家族で、東京都の役割であるべき管理監督機能が劣化しているのもこの温床が原因となっているのです。(お姐Blog放置され続けた障がい者施設虐待は氷山の一角ご参照)

 これらの既得権の構造に斬り込むには、しがらみのない新しい都知事が求められるのです。
 お姐は、それができるのは、小池百合子さんをおいてほかにはないと確信するものです。


 いの一番で小池百合子さんを応援すると手をあげた都議会議員として、最終日まで応援したかったのですが、かねてより決まっておりました明日の第4回地域政党サミット in福知山を主催&講演するため、お姐は本日京都に向かいます。

北川正恭教授×藻谷浩介先生×上田令子!何かが起こらぬわけがないメンバーです。
 地域主権が東京から実現する前夜に福知山に馳せ参じてその先を語り合うぜよ!
 その、先を見ています。地域から地方自治体を動かしていく新しい地方政治のカタチが始まります!

【お姐総括】

昨日、お姐の地元船堀駅での街頭の一コマ。告示日前の七夕に連絡いただき、いち早く視察においでになったの小岩の「保育園にっこりハウス。江戸川の待機児童のことを忘れずに来て下さいました!

駆けつけてくれたママ友や地域の支援者とともに、この歴史的な選挙を共有することができ、感無量でありました。

今回の争点は、コノ一言!

世直し「お百合」の東京都議会ドン成敗&脱利権!

小池百合子さんはインタビューで「来年夏の都議選では改革志向の候補を支援します。党派を問わずにね。」と語られています。

花のお江戸の大改革を、お姐も一緒に進めたい。
小池百合子さんが都知事になれば東京のこれからの100年が変わる!
一票レボリューションをおこしましょう!

上田令子 プロフィール

東京都議会議員(江戸川区選出)、地域政党「自由を守る会」代表、地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)副代表
白百合女子大学を卒業後、ナショナルライフ保険(現ING生命)入社後、以降数社を経て、起業も。2007年統一地方選挙にて江戸川区議会議員初当選。2期目江戸川区議会史上最高記録、2011年統一地方選挙東京都の候補全員の中で最多得票の1万2千票のトップ当選。2013年東京都議会議員選挙初当選。2014年11月地域政党「自由を守る会」を設立し、代表に就任。2015年3月地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)を設立し、副代表に就任。

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