今回もMEDIA WARSと化した都知事選。投票率は?

東京都知事選挙も本日7月30日で選挙運動の最終日を迎えました。アゴラでは舛添前知事が辞任する前から「日本一早い」都知事選連載をスタートし、この四半世紀、首都特有のメディア選挙によって有権者も政治家も翻弄されてきたケーススタディを取り上げてきました。

2代続けて都知事が金銭スキャンダルで任期途中で辞任。2年半で2度も選挙が行われる異常事態を踏まえ、知名度や話題性だけでなく、候補者の政治家としての資質・パーソナリティーや政策能力はもちろんのこと、都議会や16万人の都庁職員と対峙し、リーダーシップ・マネジメント能力を発揮できるか、連載では、しっかりと論戦・検証が行われる戦いになってほしいとの願いを込めたものでした。

2014年の選挙戦に比べると、自民党の分裂選挙という、これまた異例の事態となり、前回よりも話題性や知名度がある、3人の有力候補者がひしめき合うことで、かつてないほどのメディア選挙の様相が色濃くなっています。テレビ討論だけではありません。ネット選挙解禁後2度目となる今回の選挙戦では、従来の匿名による単純な誹謗中傷とは異なる様相も強まっています。

大手ポータルサイトを含む有力なネットメディアでもプロのジャーナリスト、政治関係者が暴露記事を報じたり、あるいは綿密な調査で掘り起こしたファクトベースの批判・ネガティブキャンペーン記事を展開したりする動きが顕著になりました。ここアゴラでも、各陣営の支持者らが連日熱い舌戦を展開しています。

ネット上の“風評”がリアルの口コミにも波及して候補者の評判に影響する事態も。サイト上で有権者の疑問・批判に答える陣営も出現しました。そうしたネットの盛り上がりに刺激されるように、週刊誌やタブロイド紙の報道も過熱。選挙期間中の報道としては、かつてないほど特定候補者のスキャンダルを暴き立て、陣営側が選挙妨害を訴え刑事告訴に発展する動きもありました。

今回は過去最多の21人が出馬。“泡沫”と呼ばれる候補者たちがユニークな政見放送でネット上の話題をさらう反面、そうした候補者たちが結集して、テレビ番組における有力候補者たちの露出不平等に抗議する新しい動きもありました。

マスコミもネットもどこか本筋の政策論議と違うスキャンダラスな部分に脚光が集まりますが、果たしてメディア首都決戦をジャッジする都民は、どれだけこの戦いに参加するのか。

過去のケースの投票率を振り返ると、前回は20年ぶりの大雪に見舞われた影響もあり、過去3番目に低い46.14%。今回と同じく自民の分裂選挙となった1991年は51.56%。知名度の高い候補者が乱立した1999年は57.87%でした。なお過去最低は2003年。この時は石原氏の2期目圧勝の結果が見え見えで、都民の関心が薄れたためでした。

マスコミの情勢調査でリードがささやかれる候補が逃げ切るのか、それとも組織フル回転の他候補が巻き返すのか。“泡沫”とみられた候補の意外な健闘はあるのか。国政の情勢にも大きな影響を与えかねない注目の決戦の行方は、どうなるのでしょうか。

アゴラ編集部