【映画評】ターザン:REBORN

大都会ロンドンで美しい妻ジェーンと共に裕福に暮らす英国貴族のジョン。彼はコンゴで、生まれて間もなく国の反乱に巻き込まれ、ジャングルで動物たちに育てられ“ターザン”と呼ばれていた過去があった。政府からも一目置かれる実業家のジョンだが、外交のため故郷へ戻ることに。しかしそれは罠で、故郷は侵略され、ジェーンはさらわれてしまう。ジョンはかつての野性を呼び覚まし、愛する妻と故郷を取り戻すため闘うことを決意する…。

 

米国人作家のエドガー・ライス・バローズによる冒険小説ターザン・シリーズは何度も映画化されてきたが、元祖ヒーローであるターザンを新たな解釈で描くのが「ターザン:REBORN」だ。ジャングルの中をツタにつかまりながら“ア~、アア~!”と雄たけびをあげる野人のイメージが定着しているが、本作の冒頭、ターザンは、気品あふれる美しい英国貴族として登場する。ターザンことジョンは、ベルギー政府のある秘密から罠にかかるのだが、戻ったジャングルには昔なじみの動物や“兄弟”がいて、彼らとの向き合い方すべてに自然へのリスペクトが感じられる。イケメンかつマッチョなアレキサンダー・スカルスガルドがターザンに扮し、愛するものを守りぬくヒーローを好演しているが、本作で注目すべきなのはマーゴット・ロビー演じる妻ジェーンの描き方だ。

かつてはターザンに守られ救い出される美女というお飾り的な存在だったが、本作のジェーンは違う。悪者を相手にタンカを切り、仲間を守ろうと川に飛び込んで奮闘する。夫ジョンとも対等で、時には夫をやり込めるジェーンは頼もしくも微笑ましい、今どきの女性キャラだ。動物たちはすべてCGだが、まるで本物と見紛う素晴らしい出来で、アクションもスタイリッシュでスピーディー。アメコミヒーロー全盛の今、一見古臭いと思われるターザンは、生まれ直した。文明社会から野生へと戻ることで取り戻す大切なものを描く手法もまた「REBORN」なのだ。

【75点】
(原題「THE LEGEND OF TARZAN」)
(アメリカ/デヴィッド・イェーツ監督/アレキサンダー・スカルスガルド、マーゴット・ロビー、サミュエル・L・ジャクソン、他)
(元祖ヒーロー度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年7月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。