兼任マネージャーは出社準備前の工夫をすべきだ

左が石川和男、右は研修講師の沖本るり子氏

終身雇用、年功序列の時代には、管理職は管理のみ、専門職は専門性の高い仕事のみなど、役割分担がなされている会社が一般的でした。ところが、いまは人員削減などの流れから仕事の兼任は当たり前になってきています。

「マネージャーであれば仕事の兼任は当たり前です」と述べるのは、税理士であり、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』(明日香出版社)の著者でもある、石川和男(以下、石川)氏です。多くのマネージャーは出社前の時間の使い方を工夫をすべきであるとも述べています。

■出社準備をどう過ごすかが重要

業務を兼任しているマネージャーはその名の通り、部下を育成・指示指導する立場である「マネージャー」としての役割と、営業や総務など現場での「プレーヤー」としての役割を担うポジションの双方を担当しているケースが少なくありません。

「業務を兼任しているマネージャーには時間の効率性が求められます。なかには、専門性を磨きたい、語学の勉強をしたい、部下をマネジメントする能力を身につけたいなど、向上心を持っている人が大勢いますが、なお更、時間の効率性が求められるはずです。」(石川)

時間を作り出し、自分のやりたいことをするためにはどうすれば良いのでしょうか。

「朝の出社準備の時間。何気なく押してしまうのがテレビのリモコンスイッチ。朝は報道番組が多く、その内容は、事件や芸能人のゴシップなどネガティブ情報であふれています。ネガティブな気持ちになって出社準備をするぐらいなら思い切って朝の報道番組を見ないことです。」(石川)

石川は、自分の能力開発に役立つ、DVDやCDを聞きながら出社準備をすることが望ましいと述べています。

「リーダー論を頭に叩き込みたい。営業ノウハウを知りたい。海外出張に備えて英語の勉強をしたい。松下幸之助や本田宗一郎の経営理論を勉強したい。財務分析や経済学を知りたい。ファイナンシャルプランナーや簿記の資格を取りたい。あなたが希望するDVDやCDは、いくらでもあります。」(石川)

マネージャーには、日常の業務を速くこなすだけではなく、状況判断力が求められます。そのために普段から教養や知識を身につけておくことは大切です。

■本日のまとめ

たまに、「自分にはチャンスがない。運がない」という人がいます。果たしてそうでしょうか?実は目の前にチャンスがやってきているのに、そのチャンスに気づいていない。また生かす準備ができていないことはありませんか。

昇進を目指していたが数字に弱くて昇進できなかった。普段から海外赴任を目指していたのに英語の勉強をしていなかったので声がかからなかったなど。これは明らかに準備不足であることがトリガーになっています。

石川は次のように答えます。

「普段、勉強する時間が無いと嘆いている人も、朝の準備時間を利用すれば、毎日30分程度の時間は作りだすことができます。年間270日勤務で出社準備に30分かかるとしたら、年間135時間を、自分を高める時間に変えることができるのです。限られた時間を効率的に使うのも皆様の考え方次第です。」

尾藤克之
コラムニスト

PS

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