何日か前だったでしょうか。NHKで民進党の代表選に出馬されている蓮舫さん、前原さん、玉木さんが討論をやっていらっしゃいましたが、どなたの発言も、あまりにぬるすぎて、退屈そのものでした。民進党は政党として存在の意義を問われていると思うのですが、その自覚は感じられません。
その後話題になっているのは、アゴラ記事が発端になった、蓮舫さんの「二重国籍問題」ぐらいで、代表選そのものは埋没してしまっているのではないでしょうか。
なぜ盛り上がらないのか。理由ははっきりしています。どの候補者もはっとするような鮮明な「戦略」、つまり今後の民進党はなにを目指して歩むのかを伝えてくれていないからです。
だからいくら討論をしても、野党共闘という「手段」でしかない問題で、従来の大失敗した岡田路線の継承か、リセットかというところの差ぐらいしか伝わらないのです。
「目指しているところ」また「戦略」で競い合わなければ、人気投票になり、流れは蓮舫さんになってきます。
「戦略」は、「誰のための」政党なのかと、「なに」の実現をめざすのかですが、「誰のための」を幅広くすれば、「なに」には従来にない新しさでひとびとの心を惹きつけるものでなければなりません。
その「戦略」に共感初めてひとびとは動くのでしょうが、「誰のために」も「なに」のためにもが玉虫色では、与党との違いがなく、結局はかつての社会党のように、「与党に反対する野党」という立ち位置に追い込まれていきます。
戦略もなく、これといったビジョンもないから都知事選で、結局は鳥越さんの知名度にすがりつくしかなかったのです。
では蓮舫さんが代表になれば、民進党は再建できるのでしょうか。女性のリーダーの登場は歓迎しますが、「目指しているところ」また「戦略」の斬新さがないので、結局は一時の目新しさを演出できても、やがては埋没していきます。
かつて土井たか子さんのマドンナブームがありましたが、それは社会党の実力で勝ち取ったというよりは、「「消費税・リクルート・宇野首相の女性問題・オレンジ自由化」の4点セットで自民党が自滅したという結果で、今はそんな状況ではありません。
東京都知事選には都民だけでなく、全国から熱い視線が集まりました。米国の大統領選にも、国境を超えて全世界が注目しています。そんな状況をつくりだせないというのなら、もはや政治を動かす能力も失っているということでしょう。
それなりの議員数をもっている第二野党だといっても、今の民進党のままでは衰退していくしかなく、解党して野党再編に向けて動きだしたほうが国民のためになるのではないでしょうか。