蓮舫問題の超簡単な論点整理

池田 信夫


アゴラで八幡和郎さんが火をつけ、その後も私と2人で追及してきた蓮舫問題が、きょうの民進党大会で最大の争点になりそうだ。先週われわれの話した番組でポイントは尽きており、その後の展開も予想どおりだが、話が複雑なので超簡単に整理しよう。

  • 国籍選択:国籍法14条では、22歳までに国籍を選択しなければならない。しない場合には法務省が催告し、その後1ヶ月以内に国籍を選択しなければ日本国籍を失う。蓮舫氏の場合は、1985年に日本国籍を選択したが、台湾国籍をまだ離脱していない。
  • 国籍離脱:国籍法16条では「選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない」と定めている。「努力義務」にしているのはブラジルなど国籍離脱できない外国を想定しているので、台湾のように離脱できる国については義務と解すべき。したがって彼女は、今も違法状態である。
  • 経歴詐称:公職選挙法235条では、職業もしくは経歴などに関し虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金。蓮舫氏は少なくとも2013年まで公式ホームページに「台湾籍から帰化」と書く一方、「私は台湾籍」と発言しており、故意の経歴詐称の疑いがある。
  • 不正選挙:彼女は9月6日の記者会見で「台湾政府の確認が取れない」と発言したが、その後、手元にパスポートがあったことを認めた。これは台湾国籍が残っていたことを意味するので、党員・サポーターの郵便投票の終わった13日になって「台湾国籍が残っている」と認めたのは、党員を欺くものだ。
  • 政治責任:以上は一般人の問題だが、首相になる可能性のある民進党代表には、これより高い基準が求められる。外交官の採用は外国籍を離脱することが条件なので、外交を指揮する首相にも同じ条件が求められると解するのが自然だろう。いまだに台湾政府が国籍離脱を許可するかどうかもわからない蓮舫氏が、自衛隊の最高指揮官である首相になることは危険だ。

事実関係はわれわれの指摘した通りで、彼女は1985年に日本国籍を選択した後も台湾籍をもち、それを認識していた証拠が複数ある。それ自体は国籍法の規定を知らなかったとすれば悪意はないと思われるが、アゴラがそれを指摘した後も説明が二転三転したのは、嘘をついて代表選挙まで時間稼ぎするつもりだったのだろう。

結果的には、この嘘が命取りになった。特に党員投票が終わるまで国籍を詐称していたことは、代表選の正統性を否定するものだ。きょうの代表選は延期して党員投票からやり直すのが常識だが、民進党執行部は強行突破するつもりらしい。臨時国会で自民党が彼女を議員辞職に追い込んだら、集団離党が出て民進党は分裂するだろう。

なお「二重国籍を禁止している日本の国籍法はおかしい」といった立法論は、今回の問題とは無関係だ。現行法では、国籍取得後も外国籍を31年も持っているのは違法行為である。彼女が「日本国籍だったのだから国会議員になったことは適法だ」といった話もナンセンスだ。外国籍を隠して当選した今年の参院選も、当選無効になる可能性がある。

なお今日の15時からニコ生の「言論アリーナ」で、「蓮舫氏、二重国籍発覚。民進党に明日はあるか」を放送する予定だ。