繰り返し書いているように、八幡さんや私が追及しているのは彼女の違法行為であり、これは立法論とは独立の問題だ。立法論としては、私は二重国籍を今より厳格に禁止すべきではないと思う。これについては世界の流れも変わっており、一時は二重国籍を認める国が多かったが、最近はテロやマネーロンダリングなどを監視するために国籍のチェックを厳格化する傾向が強まっている。
特に公権力の行使にかかわる国会議員や国家公務員には、一般人より厳格な規制が必要だ。維新が改正するなら公職選挙法や国家公務員法だろうが、それも現行法の運用でカバーできる部分が多い。たとえば外交官は外国籍を離脱しないと採用しないという明文の規定があるので、同じ規定を自衛官や他の国家公務員にも明記すればいい。
国会議員については、選管が外国籍の離脱をチェックすればいい。旅券の申請のときは上のように「外国籍の有無」を記入する欄があり、虚偽申請は5年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金だ(蓮舫氏は明らかに旅券法違反)。同様に選管が立候補の受付のとき外国籍の有無を記入させ、虚偽記載は公選法235条(虚偽事項公表)違反に問えばよい。
いずれも現行法の運用で解決する問題であり、国籍法の改正は必要ない。むしろ今の国籍法は二重国籍者に「日本国籍を失う」という重罰を課しているので、実際には処罰できないのが問題だ。改正するならこれを緩和して、二重国籍を公認する代わりに申請義務を負わせ、虚偽記載に罰金を課すほうが現実的だろう。
追記:Facebookのコメントで教えてもらったが、2009年の衆議院法務委員会で自民党の稲田朋美氏が二重国籍問題について質問している。
稲田委員「我が国は二重国籍を認めていないにもかかわらずこの催告制度を一度も行わないというのは、まさに行政の怠慢で、もっと言うと、不作為によって事実上二重国籍を認めているという、そんな運用をしていることになるのではないかと思いますけれども、民事局長の見解をお伺いいたします」
倉吉法務省民事局長「ただいま委員御指摘のとおり、法務大臣がこの法律に基づく国籍の選択をすべきことを催告した例というものは、これまでございません。これは、催告を行った場合は、催告を受けた日から一カ月以内に日本国籍を選択しなければ、自動的に日本国籍を喪失することとなるわけでありまして、このことが、重国籍者本人のみならず、その親族等関係者の生活その他全般にわたって極めて重大な影響を及ぼすものであることから、慎重に対処する必要があるからであります」
このように二重国籍に罰則がないのではなく、「日本国籍を失う」という罰則が重すぎるため形骸化しているのだ。