韓国の気迷い

岡本 裕明

お隣、韓国は話題の提供には事欠かない国であります。政治から外交、経済、社会までとにかく不思議な話題が多いのは国家の腰が座らない状態が続いているからでしょう。まさにバンジージャンプで上下に激しく揺れるような状態のこの国であってはならない紐がほどけてしまうようなことがまた起きるとは思いませんが、この国は今後、どこに向かっていくのか、私なりに考えてみました。

朴大統領が就任当初、中国傾倒、日本無視の姿勢を貫いたのは朴大統領の真意ではありませんでした。前大統領の李明博氏の竹島上陸という「奇行」に原因の一端がありますが、必ずしも李氏に全面的原因があるとも思えません。私は2011年8月の韓国憲法裁判所の慰安婦への補償に関して「解決済み」であった同問題が振り出しに戻ってしまったことが原点ではなかったか、と考えています。

李氏は経済大統領として「韓国747計画」と称する7%成長、一人当たりGDPを4万ドル、世界7位の国家を目指しました。リーマンショックを経験しながらもこのころの韓国は数字としては良好なものを残しました。理由は中国の躍進に伴い韓国の製品がバカ売れしてからであります。また、李氏は決して反日派ではなく比較的日本と協調体制をとっていました。よって韓国にとって「日本と中国の両手に花」状態であったわけです。あの憲法裁判所の判決さえなければ日韓関係は全く違う歩みをしていたはずでした。

朝鮮半島の人は何処を見ているのか、といえば自分のことが全てかもしれません。これは北も南も同じです。あの半島には韓国5000万人、北朝鮮2500万人の合計7500万人の人口を抱えます。国土の大きさは北が12万㎢、韓国が10万㎢であり、日本が人口1億2000万国土38万㎢であることを考えると日本と似たような密度をもったこの半島ですが、歴史的には中国と日本に大きな影響を受け続けました。そのため、常に中国側に傾いたり、日本側に傾いたりするのですが、自我に目覚めにくい体質でいつも「誰かのせい」にする悪い癖があります。

言い換えれば、半島では誰かが面倒を見てくれるという前提が国民意識の中に根付いており、あとは自分さえ良ければ万事うまくいくわけです。多くの韓国財閥が裏金や税逃れで年中手入れを受けているのも自己利益の追求といってもよいでしょう。

韓国国民と政府の関係もこの枠の中に収まっており、例えば、セウォル号の問題が生じたときも国民と政府の戦いになってしまいます。こんな不幸になったのは政府が悪いと。私ならあの船に過剰積載して無理やり稼ごうとしたフェリー会社に矛先を向けるべきだと思いますが、金がとれないから政府を責めるわけです。

同じことは慰安婦問題でも同じで憲法裁判で政府の努力が足りないといわれれば国民の矛先は韓国政府ではなく、金のとれる日本政府に向かうわけです。今回10億円を勝ち得たわけですからいったんは収まり、次の矛先を探すことになるのでしょう。

問題は次の矛先はそう簡単ではなさそうだ、ということでしょうか?Thaad(サード)ミサイルを韓国に配備することに対して中国は猛烈なる反発を示しています。中国の「人の足元を見る政策」からすれば韓国に経済的締め付けをするのは目に見えています。あるいはかつて日本製品でやられたように中国国営放送が韓国製品を叩くこともありうるかもしれません。中国は徹底して韓国を中国の配下にするために厳しい措置を行い、平伏させる気であります。

わずかな可能性であってもそれがあり得るが故に韓国東亜日報は「慰安婦像を移転させるべき」という衝撃的な論説委員のコラムを打ったわけです。これは日本との関係を改善しておかないと韓国は中国に制圧されてしまうという危機感の表れともとれます。それにもかかわらず一部の活動家はいまだに慰安婦像を世界中に拡散しようとしていますが、時代錯誤といってもよいほど的外れな活動に世界はようやく気がつき始めています。アメリカはその点本当に愚かでしたが。

日本が対韓国に行わなくてはいけないこと、これはいざというときの防御ラインであります。このブログで何度か意見していますが、日本政府が韓国に対して10億円払う、通貨スワップを再開する、はたまた安倍首相があれほどまでして朴大統領との関係改善に努めるなど奮闘してきたのは韓国が崩壊するのを防ぐためだとしたらすっきりするでしょうか?

中国か日本に頼ることで韓半島の歴史は今日に至っています。自立出来ているようでできてない韓国と北朝鮮にとって中国とも日本とも薄弱な関係となれば赤子の手をひねるほど簡単に崩れるのが両国の最大の弱点であります。特に韓国に今、崩れられると困るのは日本です。(同じことは中国の北朝鮮への気遣いです。)それゆえ防御ラインを明白にしながらも韓国に「味方意識」だけは持たせるという微妙なバランス感覚でコントロールする外交スタンスということではないでしょうか?

世界経済が拡大していた頃は皆で果実を分け合っていました。今、長期の構造的低成長に陥っていますが、これは果実の取り合いだとも言えます。誰かが我慢しないと誰かが飢餓に陥る、そして飢餓になった時、人はとんでもない行動に出る、これが私のみる朝鮮半島の歴史であり、現状なのだろうと思います。

解決方法はあるか、と言われれば私はない、と申し上げます。ないからこそ、壊れないようにするしかないと思います。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 9月26日付より

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。