ロッテ事件起訴!有罪でも球団オーナーは続けられる?

新田 哲史

NHKニュースより引用

どうも新田です。先日、「逮捕される?されない?」の大山鳴動ございましたが、韓国当局が本日、ようやく韓国ロッテの重光昭夫会長(韓国名・辛東彬)を在宅起訴いたしました。そして韓国メディアの既報通り、創業者の武雄パパ(同・辛格浩)、長男の宏之氏(同・辛東主)も一緒に在宅起訴されております。韓国の報道によると、この日だけでお三方を含む18人が在宅起訴、すでに身柄を引っ張られた人を含むと24人の起訴という、人数ばかりは超大型経済事件になっております。

聯合ニュース)ロッテ会長ら在宅起訴に 創業家の5人裁判へ=韓国

一報を受けて、創業者次男・昭夫氏と係争中の長男・宏之氏=写真=は、一族の資産管理会社クレジットでのプレスリリースで声明を発表しております。

「ロッテグループ代表者の起訴について」(光潤社プレスリリース)

「重光宏之の起訴について」(光潤社プレスリリース)

このうち、下のリンクからご自身の起訴についての声明文を見てみましょうか。

重光宏之といたしましては、かかる役員報酬は、韓国ロッテグループの各系列会社によって正式に役員に選任され、職務を執行した上で、各社が適切な手続きを経て決定した額の役員報酬が 適正に支払われていたものであり、何ら違法性のあるものではなく、今後、裁判を通じて重光宏之の正当性が認められるものと確信しております。

ち、力強い。。。とにかくすごい自信です。
まあ、ここの内容については、FACTAや拙稿で「立件できるか際どい状況」と既報した通りでありまして、宏之氏サイドは無罪に向けて鋭意法廷闘争されることと思います。

一方、昭夫氏のほうはというと、22時時点で、日本ロッテの公式サイトの最新情報には、熊本の被災地支援やら商品情報くらいで、本件絡みではアップされておりません。念のため、韓国ロッテHDサイトの日本語版、および韓国語版の日本語グーグル翻訳も見てみましたが、まだアップされてませんでした。非上場なのでIR対策に時間的余裕があるということなんでしょうか。しかし、顧客のイメージダウンをいかに抑えていくかがポイントなので、広報が機能しているのか外から見ているとビミョ〜に感じます。

そういえば、元マリーンズ担当記者として気になったのは、武雄パパは現在も実態はないとはいえ名目上は球団のオーナーであり、実質的なオーナーである昭夫氏はオーナー代行であります。

先日の逮捕Xデー騒ぎの折、球団フロントは影響を否定しているわけですが。

夕刊フジ)ロッテ裏金疑惑 球団に影響なしと説明

ここのところ、ロッテファンのFacebookグループページを見ていますと、「戦力補強で大型投資にますます消極的になるのではないか?」「伊東監督が気の毒だ」といったコメントをよく見かけます。まあ、あしたのスポーツ紙に山室球団社長のコメントが載るんでしょうけど、またぞろ身売り説が強まるのは不可避。週刊文春が先日報じていたようなリクシルあたりの名前がまた挙がってきそうです。

オーナーの犯罪。野球協約に規定は?

ところで、外国とはいえ、球団の実質的なオーナーである昭夫氏が仮に裁判で有罪が確定した場合、プロ野球的にはどうなんでしょうか。まあ、親会社でそのまま、その座に留まれなくなってオーナー代行の座も「自動失職」というのが、通例は考えられるわけですが、「プロ野球界の憲法」と言われる野球協約を久々に読み返してみると、オーナーの犯罪行為が立件もしくは有罪が確定した場合について、とりたてて規定はないようです。

選手会ホームページ(日本プロフェッショナル野球協約2016)※PDF版
http://jpbpa.net/up_pdf/1471951971-129176.pdf

一応、協約18章は「有害行為」と題し、敗退行為や八百長、賭博行為や暴力団関係者との交際などについて禁止の規定が明文化されております。ただ、これらはコンプライアンス規定ではありますが、野球絡みのものですね。オーナーだけでなく、選手、コーチ、球団職員の一般的な犯罪行為については、協約に書いてないようですが、選手のコンプライアンスについては、統一契約書第17条で定める「日本国民の模範たるべく行動」というところに集約し、何かやらかした場合はそれに準拠して個別対応するって運用なんですかね。

そういえば、オーナー在任中にパクられた事例といえば、2005年当時、西武ライオンズのオーナーだった堤義明氏が証取法違反事件で捕まったのがありましたね。その年の10月に有罪確定で、西武鉄道グループの経営とともに球団オーナーの座も後藤高志氏にそのまま移行して現在に至るというわけですが、たしか逮捕から判決までの間は、オーナーの座問題について特に論議されなかったはず。

まあ、今回の韓国ロッテ事件に関しては、逮捕できなかった経緯を考えると、有罪立証について検察がどう立て直してくるのか見ものですし、昭夫氏も大弁護団を組んで徹底抗戦して裁判の長期化を予測する報道もあります。いずれにせよ、その間は出国禁止も解かれない可能性が高いでしょうし、一子会社に過ぎない球団経営どころではない中、マリーンズの運命がどうなるのか、元番記者&ファンとしては気がかりなところです。ではでは。

 

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